JRA「新怪物」サートゥルナーリアに吹き飛ばされた福永祐一……「恋人」シーザリオ最高傑作誕生の陰で漂うダービージョッキーの哀愁
「福永騎手もすぐに気付いて進路を締めに行ったんですが、あえなく弾き飛ばされてしまいましたね……脚色が違ったので仕方ない部分もあると思いますが、なんというか『勝利への執念』の違いが表れたようにも見えました。
もちろんルールを守って、クリーンな騎乗を心掛けることは大事なこと。ただ、綺麗な騎乗に徹する余り、外国人騎手と比べて勝負所での執念が足りないのは、福永騎手に限らず『日本人騎手の課題』に挙げる関係者は少なくないですね。
強引に進路を開けたデムーロ騎手の騎乗は危険も伴いましたし、決して褒められたものではないと思います。その影響で、デムーロ騎手は他馬の進路を塞いでしまいレース後に過怠金が課せられていますし……」(競馬記者)
ただ、今年は外国人騎手が10週連続でG1を勝利するなど、まさに”外国人旋風”が吹き荒れた一年だった。そして述べるまでもなく、その”被害者”として敗れ続けたのが福永騎手を始めとした日本人騎手たちだ。
ホープフルSで大本命馬に弾き飛ばされる今年のダービージョッキーの姿は、そんな2018年を象徴するようなワンシーンだった。
それもサートゥルナーリアは、かつて福永騎手が主戦を務め、日米のオークス制覇に導いたシーザリオの息子だ。この2005年の最優秀3歳牝馬は、福永騎手にとっても「特別な存在」と言わしめる馬。福永騎手も息子のエピファネイアで菊花賞(G1)を勝った際は、感無量だったという。
「エピファネイアはその血統背景もあって、早くからクラシックの本命に挙げられるような存在でした。ただ、皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)は接戦の末に2着……菊花賞でようやく溜飲が下げることができましたが、主戦の福永騎手の評価は決して高くなかったですね。
その後も期待されましたが3連敗……そこで陣営は福永騎手を降板させてC.スミヨン騎手にスイッチしたところ、途端にジャパンC(G1)を4馬身差で圧勝してしまったんですね。思えばこれも外国人騎手の有能さを象徴するようなシーンでしたし、シーザリオ一族と福永騎手との距離が開く”きっかけ”の1つだった気がします」(同)