【夏季特別企画】史上最強世代・最後の一冠『菊花賞の行方を占う』Vol.7「伝説の出世レース『阿寒湖特別』を5馬身差で圧勝!北の大地で目覚めたステイヤーの血」
『史上最強世代』からまた一頭、菊花賞を狙う「超新星」が誕生した。
30日(土)の札幌最終レースだった阿寒湖特別(1000万下、芝2600m)で、カフジプリンス(牡3歳、栗東・矢作厩舎)が5馬身差の圧勝。最後の一冠菊花賞へ向け、堂々の名乗りを上げた。
この阿寒湖特別を「3歳馬」が勝ち上がることが如何に大きなことか、古い競馬ファンなら知っている人も多いはずだ。この阿寒湖特別は、2001年の勝ち馬マンハッタンカフェがその秋に菊花賞と有馬記念を、2002年のファインモーションもまた秋華賞、エリザベス女王杯を連勝するという類稀な出世レースだ。
ちなみにオルフェーヴルやゴールドシップを輩出した名種牡馬ステイゴールドも、1997年に3歳でこのレースを制している。
無論、3歳で阿寒湖特別を勝った馬のすべてが出世しているわけではないが、今年のカフジプリンスは間違いなく菊花賞へ期待を以って送り出せるほどの強い競馬だった。
レースは同じ3歳馬のリアルキングが引っ張る淡々とした流れ、1000m通過が62.6秒という長距離の条件戦らしいペースを、カフジプリンスは後方9番手で追走していた。レース後動いたのは3コーナーから。皆が短い札幌の直線を意識して早めに動きだしたが、カフジプリンスはまだ持ったままだった。
4コーナーに掛かるとカフジプリンスが一気にスパート、あまりにも勢いが付きすぎて小回りのコーナーで大きく外に振られたが、周りの馬とは次元の違う手応えで先頭に並びかけると後は独壇場。後続を突き放す、ワンサイドのままゴールした。
「秋は菊花賞に出したいと思っている馬です。この馬は走りますよ」
手綱をとった福永祐一騎手が、条件馬をここまで手放しに絶賛することは珍しい。皐月賞ではアドマイヤダイオウに、日本ダービーではレインボーラインに騎乗していた福永騎手だが、菊花賞ではこの馬に乗る可能性が一気に高まったといえる勝利だった。