JRA宝塚記念(G1)キセキ「またまた2着」川田将雅「勝ち馬が強かった」 現役最強「逃げ馬」が苦しむほど際立つキタサンブラックの偉大さ

 競馬の脚質は、昔から「逃げ」「先行」「差し」「追い込み」に分かれているが、逃げ馬のG1制覇は貴重だ。もっと言えば、宝塚記念を始めとした「古馬王道路線」において「逃げ馬で複数のG1」を制した馬は本当に限られている。

 実際にグレード制が導入された1984年以降で、古馬王道路線(大阪杯はG1昇格後からカウント)を2度以上逃げ切った馬は、わずか2頭。

 その内、宝塚記念と有馬記念(G1)を逃げ切ったメジロパーマーは、前者が9番人気、後者が15番人気とほぼノーマークの逃げが打てた。人気薄は目標にされやすい逃げ馬にとって大きなアドバンテージだが、現状のキセキが人気薄になる可能性は残念ながら低い。

 また、ジャパンC(G1)を抜群の重馬場適正を武器に9馬身差で逃げ切ったタップダンスシチーは、宝塚記念も勝利したが3番手から早め先頭の競馬だった。その後の有馬記念では、果敢に逃げたものの2番手のゼンノロブロイにマークされ、ゴール直前で涙を飲んでいる。

 有馬記念を逃げ切った稀代の名牝ダイワスカーレットも、近年を代表する逃げ馬だ。だが、天皇賞・秋(G1)では執拗なマークに遭い、生涯のライバル・ウオッカにハナ差捉えられてしまった。

「歴代最強の逃げ馬として最も名が挙がるサイレンススズカが、志半ばで世を去ったことが悔やまれますね。他にエイシンヒカリも強い逃げ馬でしたが、G1制覇はいずれも海外。日本では2年連続で天皇賞・秋で人気になりながらも大敗しています。

同世代が戦うクラシックではミホノブルボンやセイウンコウセイ、サニーブライアンなど絶対能力で押し切ってしまう逃げ馬もいますが、実力が拮抗する古馬王道路線で堂々と逃げ切るというのは、やはり至難の業なのでしょうね」(同)

 そうなると浮かび上がってくるのが、JRA・G1最多勝や歴代獲得賞金を始め、様々な記録を塗り替えたキタサンブラックの偉大さだ。

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