マイネル軍団総帥・岡田繁幸氏の「英ダービー制覇の野望」はまだ終わらない!地方の怪物トラスト敗れるも、すでに用意されている「第二の矢」とは
夢は所詮、夢でしかないのか……総帥の「大いなる野望」は序章で、あっさりと砕け散った。
マイネル軍団の総帥・岡田繁幸氏が、早くも来年の英ダービー(G1)に登録するほどの大きな期待を寄せる川崎所属のトラストだったが21日、札幌で行なわれたクローバー賞(OP)で1番人気に推されたものの、勝ち馬から1馬身1/4差の2着に屈した。
8頭立ての大外枠だったトラストは+12kgと馬体を増やしてJRA初挑戦を迎えたが、スタートでいきなり立ち遅れて後方からの競馬になってしまう。すぐに中団まで押し上げたが、前に行かせた分、引っかかってしまい折り合いを欠いていた。
それでも3コーナー過ぎからまくり気味に加速し、先頭に並びかける勢いで最後の直線へ。先団を捕らえて一瞬先頭に立ちかけたが、内々の経済コースを回っていたブラックオニキスが馬群から飛び出して先頭に立つと、トラストはそれを捕まえられないままゴールした。
「力んでいました。何とか馬の後ろに入れてからは収まりましたが、前半力んでいた分、最後に伸び切れませんでした。勝った馬とは枠の内外の差もあったと思います。芝の走りは良かったですし、これからです」とレース後、鞍上の柴田大知騎手は前を向いた。
確かに、初の芝での競馬。スタートで立ち遅れたせいで、逃げて圧勝したこれまでの2戦とは異なる中団からの競馬になったこと。折り合いを欠いたこと。8頭立てとはいえ、札幌の1500mで最も不利な大外枠だったことなど、敗因は多数あり情状酌量の余地はある。
柴田大知騎手の「これから」という言葉通り、トラストにとって今回はまだJRA初戦。2着に敗れたとはいえ、当座の目標となる札幌2歳S(G3)への優先出走権を得られたという意味では、このレースの目的を果たしたともいえる。
しかし、肝心の相手を見渡せば、勝ったブラックオニキス以外のJRA勢は未勝利馬。あとはトラストも含め、すべて地方馬というラインナップ。勝ち馬が初勝利に4戦を要している馬であることからも、決して「負けていいメンバー」ではなかった。
さらに、雨で重くなった札幌の洋芝は、日本では岡田総帥が大目標に上げている英ダービーのエプソム競馬場に近い馬場。本当にトラストで英ダービーを勝つつもりであれば、こんな馬場でこそパフォーマンスを上げなければならなかったのではないか。
いずれにせよ情状酌量の余地があるとはいえ、期待が大きかったトラストの今後に大きな暗雲が立ち込めたことは避けがたい事実だ。次走の札幌2歳Sは夢の「英ダービー制覇」に向けて、背水の陣での一戦となるだろう。
だが、その一方で岡田総帥はすでに「第二の矢」を用意しているようだ。