【徹底考察】神戸新聞杯(G2) サトノダイヤモンド「今春の『最強世代No.1ホース』は何故、日本ダービーで敗れたのか。最後の最後で見せた原因不明の『斜行』を見極める」
≪結論≫
サトノダイヤモンドが皐月賞で敗れた原因は、降着したリオンディーズによる不利も然ることながら、内容的にはディーマジェスティに完敗だった。しかし、完調で臨んだ日本ダービーの敗因に関しては、単なる「実力不足」では片づけられない。
前走の日本ダービーにおいて、勝ったマカヒキと2着に敗れたサトノダイヤモンドは中団のほぼ同じ位置取りでレースしている。そのまま迎えた最後の直線でも、ほぼ同じ位置から互いに末脚を繰り出したものの、マカヒキが上がり3ハロン33.3秒、サトノダイヤモンドが33.4秒。後者が0.1秒キレ負け、ハナ差で敗れている。
だが、実は直線を向いた段階では、マカヒキよりサトノダイヤモンドの方が有利な状況だった。
それはマカヒキが2枠3番から、サトノダイヤモンドが4枠8番からスタートしたことに起因しているのだが、道中は常にほぼ隣同士にいながらも、馬一頭分だけサトノダイヤモンドが常に外々を回らされていた。
しかし、最後の直線に入ると今度は内を進んでいた分、マカヒキが進路を失っている。前を先行馬に塞がれ、外に出そうにもサトノダイヤモンドがきっちりと蓋をしていたのだ。日本ダービーはサトノダイヤモンドの主戦C.ルメール騎手が常々「勝ちたい」と話していたレース。甘い騎乗は一切するつもりはなかったはずだ。
だが、残り200mを切ったときだった。突然、サトノダイヤモンドが大きく外側にヨレたのだ。
最後の勝負どころで、馬がヨレる理由はいくつかある。例えば皐月賞で降着をくらったリオンディーズはオーバーペースで息切れし、スタミナが尽きてまっすぐ走るコントロールを失ったことが主な原因だ。
では、サトノダイヤモンドもハイレベルなレースで最後の最後にスタミナが尽きたのか。
答えは「その可能性は低い」だ。仮にスタミナが尽きたのであれば、一度ヨレた後に勝ったマカヒキとの差を再びハナ差まで詰めることは、ほぼ不可能なはず。マカヒキがサトノダイヤモンド以上に大きくバテた可能性も考慮できるが、上位を争ったディーマジェスティやエアスピネルとの距離感を見た限り、それは考えにくい。
もう一つは、内にいたマカヒキが強引に進路を確保するためにサトノダイヤモンドに”体当たり”した可能性だ。だが、これもレースを見た限り、どちらかといえばサトノダイヤモンド自らがマカヒキに進路を譲ったように見える。
さらにもう一つの可能性として、陣営はレース後に「向こう正面で落鉄していた」とコメントしているため、その影響が出たということだ。だが、落鉄した馬がすべてヨレるわけではないし、わかることは「走りにくい可能性がある」ということだけだ。