JRA「係員負傷」事故対応に疑問の声続々……? 遺恨が残った武豊騎手の懸念と、背景にある主催者の「事情」とは
18日、中山競馬場で行われた障害未勝利戦で痛ましい事故が起きた。
JRAの発表こそ「小雪」となっていたが、吹雪のような視界が悪い中で行われたレース。アクシデントの多い障害レースだけに出走した14頭は、慎重にレースを運んでいるように見えた。
しかし、1周目の3号障害でシンボリブーケがバランスを崩し、江田勇亮騎手が落馬。シンボリブーケは頚椎関節脱臼による予後不良となってしまったが、「悲劇」はそれだけで終わらなかった。
そこからちょうど1周後、2周目の3号障害だった。
障害の前には、アクシデント発生による迂回を知らせる赤いコーンが立てられていた。しかし、設置場所はちょうどコーナーを抜けたところで、さらに視界は吹雪によって極めて悪い状況。事後処理に当たったJRAの係員も両手を挙げて迂回を知らせたが、各騎手が対応するのは難しい。
シンボリブーケが隊列の後方で転倒したので、落馬そのものを認識していない騎手も多かったようだ。特に先頭を走っていたマイネルバッカーノの山本康志騎手にとっては、極めて難しい判断だったといえるだろう。
コーナーを曲がったところで赤いコーンを確認し、進路を外に向けながら3号障害を飛越したが、ちょうどそこが、シンボリブーケが横たわっている場所だった。障害の向こう側で倒れていたため、乗っている騎手には飛越するまで見えないのだ。
とっさに回避しようとしたマイネルバッカーノだが、すでに自力では立てないシンボリブーケに寄り添っていた係員と接触。結果的に轢かれたような格好になった。
「本当に申し訳ありません。雪が原因ではなく、いろんなことが重なってしまった。今後こういうことが起きないよう、みんなでしっかり考えたい」
幸い、マイネルバッカーノは落馬したものの人馬とも無事だったこともあり、レース後、謝罪のコメントを発表した山本騎手。しかし、「みんなでしっかり考えたい」との発言があったように、本件は決して山本騎手だけの責任ではないはずだ。