【徹底考察】毎日王冠(G2) ロゴタイプ「モーリスを撃破した新マイル王の『真の実力』は?【血統】が語る安田記念の勝利の必然性とは」

『考察』

 この春の安田記念(G1)でマイル王モーリスを撃破して世間をアッと言わせたロゴタイプが、秋の始動戦に毎日王冠(G2)を選んできた。これだけでも今秋は、マイルCSよりも天皇賞・秋に重きを置いていることがわかる。

 前走の安田記念は、レース後に鞍上の田辺裕信騎手が「躊躇なく行った。着を拾うのではなく、勝つにはどうすればいいかを考えていた」とコメントしたように、まさに会心のレースだったことは間違いない。

 抜群のスタートからハナに立ったロゴタイプは、終始レースを支配した。1000mの通過が「59.1秒」というスローペースに落とし込むと、直線でも一頭だけ最内からラチを頼った走りで、最後まで粘り込んだ。

 この日は昼過ぎまで稍重の馬場だったが、それでも安田記念の1000mの通過が「59.1秒」はかなりのスローペース。もともと小頭数でペースは上がらないと目されていたが、過去5年間で良馬場の安田記念の1000mの通過は、前年の「57.3秒」から「57.0秒」「56.3秒」「57.0秒」。

 今年の「59.1秒」は、不良馬場で行われた一昨年の1000mの通過タイムとまったく同一と、いかに緩いペースだったのかがうかがえる。逆に述べれば、田辺騎手がレース全体を支配し、ライバルを完全に「ハメた」ともいえるだろう。

 だが、それでもなお勝つことが難しいのが競馬である。それもG1レースとなると”奇策”だけで、そう簡単に成し遂げられるものではない。

「ずっと、何とかもう1つ勲章を獲らせたかった。まだ終わっていないと信じていたし、『終わらせちゃいけない』とも思っていた。田辺君とも、その辺りの気持ちが通じ合って、後続を待たずに(思い切って逃げて)行ってくれましたね」

 サンケイスポーツの取材にそう応えたのが管理する田中剛調教師だ。その言葉からは強い信念が感じられる。そして、何よりもロゴタイプの秘められた能力を信じていなければ、できない発言であり、作戦だった。

 25戦6勝。決して名馬らしい優れた戦績とは言えないが、この安田記念の勝利でG1は3勝目である。

 実はグレード制導入以降で、JRAのG1を4勝以上した馬は25頭しかいない。G1を3勝した馬でも26頭。ロゴタイプはドリームジャーニーやヤマニンゼファーと並んで、この秋にトウカイテイオーやグラスワンダーと同じ領域に挑もうとしている。無論、時代が違えば単純な比較はできないが、決して周囲が思っているほど弱い馬ではないはずだ。

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