JRAアーモンドアイ「春全休」も!? ドバイ中止でローテーションほぼ白紙に……。蘇る昨年末の苦い思い出
22日、新型コロナウイルスの影響でドバイワールドカップデーの開催中止が主催者より発表された。レース開催まで1週間を切ったタイミングでの発表に、関係者の混乱を招いている。
実際に22日夜にUAEへ出国を予定していた関係者は、直前で出国を取りやめた。またC.ルメール騎手は国際情勢の変化を考慮して一足先に入国済み。そして出走予定馬も全頭入国済みだ。
12日には無観客開催の発表。17日からUAEに入国制限がかかったが、関係者には特別にビザが発給されることが決まっていた。無事に開催されると思われた矢先の決定だけに、驚きとショックは大きい。
この決定を受けて、ドバイシーマクラシック(G1)でラヴズオンリーユーに騎乗予定だったM.デムーロ騎手は『日刊スポーツ』の取材に「馬がかわいそう。馬主さんも、調教師さんも。先に行っていたクリストフ(C.ルメール騎手)もかわいそう。もっと早く決めてくれていたら……」と答えた。競走馬、関係者、そして同僚ジョッキーを気にかけ、中止決定時期に疑問をぬぐい切れない様子だ。
そのルメール騎手は連覇がかかるドバイターフ(G1)にアーモンドアイ(牝5歳、美浦・国枝栄厩舎)の騎乗を優先するため、日本での騎乗をキャンセルしてまでドバイへ前乗りしていた。開催中止決定は、同馬の今後のローテーションにも大きく影響を及ぼしそうだ。
「アーモンドアイはドバイ遠征後、香港遠征を視野に入れていました。4月26日のクイーンエリザベス2世C(G1)とチャンピオンズマイル(G1)への登録を済ませています。しかし、今回のドバイ中止を受けて、香港の国際招待レースも中止の可能性が高まっています。
そのため春のローテーションは、ほぼ“白紙状態”になってしまいました。ドバイではレースに出走していませんが、輸送の負担がかかっていることに変わりありません。さらに帰国便や検疫の状況が例年と異なるため、どう影響するかわかりません。帰国後の様子を見てのローテーション調整になりそうです」(競馬記者)
昨年はドバイ帰国後、6月の安田記念(G1)に出走したアーモンドアイ。現実的な選択肢として、安田記念のほかに、5月のヴィクトリアマイル(G1)、6月の宝塚記念(G1)が挙げられる。
「昨年12月にアーモンドアイは香港C(G1)へ出走を予定していましたが、直前で熱発により急遽回避しています。そのため一時ローテーションが白紙になりましたが、体調が回復したため、当初予定にはなかった有馬記念(G1)に出走しました。しかし、結果は9着に惨敗しています。
陣営にとっては有馬記念の苦い経験があるだけに、今回のドバイの“アクシデント”明けのローテーション選びには慎重になるのではないでしょうか。場合によっては『春全休』の可能性も否定はできませんね」(競馬記者)
ドバイを5歳シーズンの始動戦にするはずだったが、思わぬ形で始動延期となってしまった。まずはアーモンドアイが無事に帰国し、始動戦の「目途」が立つことを待ちたい。