【徹底考察】秋華賞(G1) ビッシュ「紫苑Sから本番を制したのはショウナンパンドラのみ。かつて浜中が試み、戸崎が継承した好走のコツ。女傑との意外な『共通点』とは」
『考察』
相次ぐ有力馬のリタイアにより、1番人気のお鉢が回ってきそうなビッシュ。だが、前走の紫苑S(G3)の内容を見れば、例えメジャーエンブレムやシンハライト、チェッキーノが健在だったとしても、要注意の一頭となっていたことは間違いないだろう。
今年から重賞になったことで、好メンバーの出走が期待された紫苑S。その効果はテキメンで、ひどい年は500万下の条件戦のようなメンバー構成だったが、今年は本馬を始め、フローラS(G2)2着のパールコードや、フラワーC(G3)を逃げ切ったエンジェルフェイスとオープン実績を持つ馬が複数集まった。
そんなメンバーに、2馬身1/2で完勝したのがビッシュだ。
特にスタートこそ一息だったが、向こう正面で好位に取り付き3、4コーナーで先団に並びかけた競馬ぶりは圧巻の一言。最終的な着差こそ2馬身1/2だったが、2着のヴィブロスも3着以下を3馬身以上突き放しており、逆に述べればビッシュはヴィブロス以外に「5馬身以上」という決定的な差をつけていたことになる。
だからこそ一躍秋華賞の本命候補に推されているのだが、実は秋華賞のトライアルとして設立された紫苑Sは今年で17回目を迎えたが、秋華賞で馬券に絡んだ馬は2014年のショウナンパンドラしかいない。
もっといえば、その年は新潟で行なわれており、言い換えれば中山で開催された紫苑Sから、秋華賞で馬券圏内に好走した馬は1頭もいないということになる。
つまり、秋華賞の歴史において紫苑S組は圧倒的に実績がなく、ローズS組が好走馬の数で他を圧倒する王道トライアルとなっているということだ。
そこには当然ながら、これまで紫苑Sが重賞ではなかったという面も関連しているだろうが、それを検証しても仕方がないし、重賞になったら突然本番でも来るという明確な根拠もない。
ちなみに、ショウナンパンドラは紫苑Sで2着に敗れている。そして、先述した通りこの年の紫苑Sは左回りの新潟、それも直線が600m以上も外回りコース、それも不良馬場で行なわれており、右回りの京都内回り、かつ良馬場で行なわれた秋華賞との関連性は薄いと述べざるを得ない。実際に同じ2000mながら、走破タイムには6.3秒もの差がある。
しかし、このショウナンパンドラとビッシュには、秋華賞を攻略する上での「ある重要」な共通点が存在する。