JRA福永祐一コントレイル皐月賞(G1)制覇に強い意欲も不吉なデータ……不安要素は直行よりも鞍上?
先週行われた牝馬クラシックの桜花賞(G1)は、新星デアリングタクトが圧勝を決め、3戦無敗で桜の女王へと駆け上がった。
牡馬クラシックの皐月賞(G1)が行われる今週は、3連勝で昨年のホープフルS(G1)を制したコントレイル(牡3、栗東・矢作芳人厩舎)に注目が集まる。
レコード勝ちした東スポ杯2歳S(G3)で手綱を取ったR.ムーア騎手から福永祐一騎手に乗り替わった前走のホープフルS(G1)は圧勝だった。終始余裕のある手応えで、直線2番手から楽に抜け出すと、後続をまったく寄せ付けずに悠々とゴール板を駆け抜けた。
G1制覇後、陣営は早々に皐月賞(G1)への直行を表明した。ホープフルSから皐月賞へ直行のローテーションは、昨年の勝ち馬サートゥルナーリアと同じステップとなる。近年では調教技術の進化もあり、必ずしも本番前に一度使ってからというかつての常識が絶対という訳でもなくなりつつある。
また、コントレイルを管理する矢作厩舎は昨年の有馬記念(G1)をリスグラシューで制し、今年のフェブラリーS(G1)ではモズアスコットで芝・ダート二刀流となるG1制覇を達成している腕利きだ。体調不安や故障が原因での直行ではないために、こちらについてはそれほど不安材料とはならなさそうだ。
となると次に注目したいのは、コントレイルとコンビを組む福永騎手だろう。
18年の日本ダービー(G1)をワグネリアンで制し、天才といわれた父福永洋一元騎手ですら成しえなかったダービージョッキーの称号を手に入れたことは記憶に新しい。ホープフルSと同じく皐月賞でも福永騎手の手腕には大きな期待が寄せられる。
その一方で、福永騎手には不吉なデータがあるのも確かだ。
96年の騎手デビューから皐月賞にはこれまで18回騎乗し、2着4回、3着1回と18連敗中である。さらに、これを牝馬に対して苦手とされる牡馬クラシックまで広げた場合、ワグネリアンの日本ダービー、エピファネイアの菊花賞を勝利しているとはいえ、60戦して2勝、2着9回、3着3回となり、勝率はわずか3.3%でしかない。
騎手生活24年目となる福永騎手はもはやベテランといわれる領域に達したといえるだけに、コントレイルにとっては決して歓迎できないデータとなるだろう。
今回、人気の無敗馬とクラシックに臨むことについて『サンケイスポーツ』のコラムで、「皐月賞初勝利はこの馬で決めたい。今はプレッシャーよりも、ここでどういうレースをしてくれるのか、という楽しみの方が大きい」と強い意欲を見せてくれた福永騎手。
福永騎手は19回目の挑戦にして初となる皐月賞勝利となるか。
圧勝したホープフルSのように、レース後は「強かった。僕はつかまっているだけでした」と笑顔で答えてくれることに期待したい。
人馬ともに注目したい牡馬クラシック初戦となりそうだ。