JRA「デアリングタクト×コントレイル」過去に「無敗」の桜花賞馬と皐月賞馬が同年に誕生したあの年……2頭が迎えた悲劇的な結末
今年のクラシックは桜花賞(G1)をデアリングタクト、皐月賞(G1)をコントレイルが勝利し、いずれも無敗で優勝するという「偉業」を達成した。
これまで無敗の桜花賞馬、無敗の皐月賞馬が誕生したことは何度かあったが、同年にどちらも誕生するケースというのは、長い競馬の歴史でもかなりのレアケースといえるのではないだろうか。
まず、どちらか一方としても出現する可能性はそれほど高くない。過去20年を振り返っても牡馬では直近にサートゥルナーリアがいるとしても、2005年ディープインパクト、01年アグネスタキオン、牝馬では04年ダンスインザムードがいるくらいだ。
後に3冠馬となったアーモンドアイ、ジェンティルドンナ、オルフェーヴル、アパパネ、スティルインラブなどの名馬ですらデビュー戦を敗れていたり、トライアルを取りこぼしていたりするケースもある。それだけに「無敗」で達成する難易度はかなり高いと考えられる。
ただでさえ滅多に誕生しない無敗の桜花賞馬、無敗の皐月賞馬が、「同年」に誕生ともなるとそのハードルはさらに高くなる。はたして過去に同様の事例はあったのだろうか。
確認してみたところ、桜花賞を「天馬」といわれたあのトウショウボーイを父に持つシスタートウショウ、皐月賞を「皇帝」シンボリルドルフの初年度産駒トウカイテイオーが優勝した91年がこれに該当している。
そこで当然気になるのは、この年のそれぞれの次走である。
トウカイテイオーは日本ダービー(G1)、シスタートウショウはオークス(G1)でどのような走りを見せたのか。
ダービーのトウカイテイオーはフルゲート20頭の大外となる8枠20番(当時)からのスタートとなった。懸念されていた大外から好発を決めると、終始楽な手応えで好位をキープした。直線半ばに差し掛かったところで満を持して追い出すと、一気に後続を突き放す3馬身差の完勝で無敗の3冠馬・父ルドルフに続く無敗の2冠を達成した。
一方、オークスのシスタートウショウは非常に大きな悔いの残る結果となってしまった。スタートで出遅れるも、行きたがる馬を押さえて後方で折り合いに専念した。直線では最後方に近い位置から大外を回す格好となり、逃げたイソノルーブルの前にハナ差の惜敗を喫してしまう。内容としては「勝てていた」だけに非常に残念な結果に終わったといえる。
だが、明暗を分けた2頭には、さらに大きな「不幸」が待ち構えていたのである。
トウカイテイオーはダービー後に骨折、シスタートウショウはオークス後に屈腱炎が判明し、3歳残りのシーズンを全休することになってしまった。
あれから約30年ぶりに現れた無敗の桜花賞馬デアリングタクトと無敗の皐月賞馬コントレイル。
2頭の次走はどのようなドラマが待っているのだろうか。