JRA日本ダービー「正統後継者」コントレイルに課せられた宿命。「偉大過ぎた父」ディープインパクトが果たせていない、サラブレッドとしての「命題」
昨年7月30日、「近代競馬の結晶」と評されたディープインパクトが他界した。
2004年にデビューし、翌年には武豊騎手とのコンビで1984年のシンボリルドルフ以来、20年ぶりとなる無敗の三冠を達成。その圧倒的な輝きは「競馬」という枠組みを超え、社会現象にもなった。娯楽が溢れる現代社会で、競馬が社会の中心で取り扱われたのは、おそらくこの瞬間が最後だろう。
ディープインパクトが競馬界に残した功績は、それだけではなかった。
2006年末に競走生活を終えたディープインパクトは、その後、不動のスーパーサイアーとして日本競馬を牽引する。毎年のようにビッグレースの勝ち馬を送り出し、2012年から昨年まで8年連続のリーディングサイアーを獲得。日本競馬に「革命を起こした」とされる父サンデーサイレンスの記録を次々と塗り替え、今年も9年連続のリーディングサイアー獲得はほぼ確実な状況だ。
しかし、そんなディープインパクトでも1つだけやり残したことがある。「正統後継者」の輩出だ。
ブラッドスポーツといわれる競馬は、サラブレッドの血の系譜でもある。競争を勝ち抜き、種牡馬となった馬の次なる命題は、自身を超える後継者の輩出に他ならない。競馬はそれを繰り返し、優れた血が脈々と受け継がれて、ここまで発展してきたのだ。
そういった意味でディープインパクトは、サラブレッドとしての命題を果たせなかったことになる。このままでは――。