【徹底考察】天皇賞・秋(G1) エイシンヒカリ「昨年は逃げずに9着惨敗も、武豊騎手は今年もハナにはこだわらない?昨年の天皇賞・秋の敗因を究明」


 直線の長い阪神外回りのレースにもかかわらず、ラスト1ハロンが12.9秒まで落ち込んでいるように、逃げ馬にとっては厳しい極端な消耗戦。勝ったトーセンスターダムは12頭中の11番手から、2着のデウスウルトも9番手から競馬しており、前に行った馬はエイシンヒカリとともに壊滅している。

 そして、より関連が強そうな昨年の天皇賞・秋については、いささか不明な点が多い。

 まずこのレースが、エイシンヒカリが逃げ切った前走の毎日王冠(G2)よりも厳しい流れになったという意見があるが、前半の1000m通過タイムは天皇賞・秋が60.6秒で、毎日王冠が59.9秒と、実は天皇賞・秋の方が遅い。

 その上でラスト800mからの各ラップは下記の通りだ。

毎日王冠(G2)
11.7 – 11.0 – 11.3 – 11.7=45.7
天皇賞・秋(G1)
11.6 – 11.3 – 11.1 – 11.6=45.6

 ご覧頂いた通り、開幕週と4週目の差こそあれ時計的にはほぼ同じ流れ。むしろ前半が遅く1000m~1200mで12.2秒を記録している天皇賞・秋の方が、逃げ馬にとっては楽なくらいだ。

 しかし、エイシンヒカリは毎日王冠では上がり34.0秒の末脚で逃げ切っているが、天皇賞・秋では上がり34.7秒と失速。9着に沈んでいる。

 同じ東京で開催され、レースの推移もともに「スローからの上がり勝負」でよく似ている。その上でエイシンヒカリが天皇賞・秋で沈んだのは、やはり「精神面」の問題である可能性が高い。

 ただ、鞍上の武豊騎手はレース後「2番手でも全く問題なかった。掛からなかったし、いいペースで、いい形と思っていたが直線で先頭に立つことが一度もなかったからね。これが『G1の壁』なのかな」とコメントしているように、逃げられなかったことで馬が掛かったわけではない。

 実際にイスパーン賞も2番手からの競馬で圧勝している通り、エイシンヒカリは2番手からでも能力を発揮できるタイプの逃げ馬だ。

 従って、スタミナが切れたというよりは、最後の直線になってまったく伸びなかったことからも、エイシンヒカリ自体がレースをやめてしまったとしか考えられない。最下位に敗れた前走のプリンスオブウェールズS後もそういった声が聞かれたが、目に見える敗因がない以上、精神面の問題と考えるしかないのが現状だ。

関連記事

競馬最新記事

人気記事ランキング 23:30更新

競馬

総合

重賞レース特集
GJ編集部イチオシ記事
SNS