【徹底考察】エリザベス女王杯(G1) パールコード「圧倒的な実績を残す3歳馬。パールコードにも女王の『資格』あり」
ただ、それでも秋華賞に至るまでの上がり最速が超スローで流れたデビュー戦の34.6秒だったことを踏まえれば、秋を迎えて確実に成長していることは確か。京都内回りから外回りに舞台が替わるのは、瞬発力勝負に不安のある本馬にとって好ましいとは言えないが、確実に対応力は付いてきているはずだ。
≪結論≫
率直に述べて、前走の秋華賞では2着を確保したもののヴィブロスには完敗だったパールコード。同じ3歳のデンコウアンジュよりはチャンスがあるため、今回の3歳代表であることは確かだが、シンハライトや春のジュエラー、メジャーエンブレムを含めた本当の世代トップクラスとの力の差は否めない。
ただし、過去の歴史からもエリザベス女王杯で好走した3歳馬が、必ずしも世代トップクラスだったわけではない。そういった意味では本馬どころか、一枚劣るデンコウアンジュまでチャンスがあるほど、エリザベス女王杯における3歳馬の斤量2kgのアドバンテージは大きいようだ。
ただ、その上で気になっているのが、ここ2戦のパールコードの競馬の内容だ。
実は紫苑Sでもスタート直後に外側にヨレて、隣にいたパーシーズベストに体当たりをかますなど、決して行儀の良い走りではなかった。
もっと言えば、ここ2戦の右回りはいずれもずっと外々に張り出そうとしている。幸い、川田将雅騎手が外に馬を置くように位置取ることで事なきを得ているが、それでも常に外側に持たれ気味に走っていた。原因はわからないが、少なくとも春には見られなかった傾向だ。
そして、もう一つ。秋華賞の最後の直線でヴィブロスの進路を塞ぎかけた件だが、これもここ2戦は最後の直線でムチを打たれると大きくヨレる傾向が見られた。無論、馬が苦しくなっているということだが、それにしてもやや行儀が悪すぎる。この馬の場合、能力うんぬんの前に、今後他馬に迷惑を掛けないかが心配だ。
最後に、秋華賞は-10kgとまさに究極仕上げだった。今回、お釣りがどこまで残っているのか注目だが、少なくとも当日の馬体重には注目したい。京都外回りに替わるのは、この馬にとってプラスではなさそうだが、秋華賞は瞬発力勝負への可能性を感じさせる競馬だった。充実している今なら対応できるはずだ。
(監修=下田照雄(栗東担当))