【徹底考察】マイルCS(G1) ネオリアリズム「モーリスを沈めた超新星は『本物』か?初のマイル戦で逃げるのか控えるのか徹底解剖」


 さらに、本馬が今まで経験したことのないペースになる可能性が、かなり高まったことも懸念材料だ。仮にネオリアリズムが逃げずに従来の競馬をしたところで、そのペースについて行けるかは疑問だ。

 本馬がこれまで経験した最速のペースは前半の600mが34.9秒だったウェルカムS(1600万下)。今回の鞍上R.ムーア騎手が騎乗し、後方一気で勝ち切っている。だが、スタートで出遅れ、道中は最後方だった。

 それに対して、ミッキーアイルがペースを作った2年前のマイルCSの前半600mは33.7秒。ここの1秒以上の差は、ほぼ”別世界”のレースといえる。もしも今年もこのペースで推移すれば、ネオリアリズムは追走に相当苦労しそうだ。少なくとも逃げるどころか、まず後方からの競馬を強いられるだろう。

 また過去のマイルCSで、マイル実績がなかったにもかかわらず勝ち切ったのは、2013年のトーセンラーだけ。トウカイポイントもそれに近いが、前走でマイル戦を経験していた。

 ちなみにトーセンラーが勝った2013年は前半の600mが35.1秒と、ここ10年で最も遅かった。それでもトーセンラーの道中の位置取りは18頭中の15番手。ちなみに本馬が道中で15番手まで下がったことは、これまで一度もなかった。それでも勝てたのは、33.3秒という上がり最速の鬼脚で差し切れたからだ。

 仮にネオリアリズムが勝ち切るには、こういったパターンになるのかもしれない。だが、残念ながら、ミッキーアイルが逃げる時点でほぼ起こりえない流れだ。あまり追走に苦しむと、今度は最後の脚が溜まらない。

 モーリスを破った地力の高さは認めるが、同厩のモーリスの跡を継いでマイルの頂点を勝ち切るのは相当に骨が折れそうだ。
(監修=永谷研(美浦担当))

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