【徹底考察】マイルCS(G1) ロードクエスト「マイル界のホープは富士Sで何故惨敗したのかを徹底解説。致命傷となった『2つのロス』とは」
実は大外だったロードクエストは、スタート直後に隣にいたブラックスピネルに寄られている。池添騎手はこれを避けるために手綱を引き、その結果大きく出遅れることとなった。
そして、これがロードクエストにとって致命的な2つの「ロス」を生んでいる。
1つは、出遅れによる「ポジション的なロス」。先述した通り、このレースでは結果的に後方からの競馬を強いられたことが仇となり、主要な敗因の一つに挙げられている。
もう1つは「スタミナ的なロス」だ。この富士Sでロードクエストは常に掛かり気味のように見えていたのだが、よく見てみると実は前に行きたがっていたというよりは、スタート直後のアクシデントで馬が興奮して、ずっと力んでいるような状態に見えた。
スタート直後、馬が興奮している状況で池添騎手ができることは、まず馬の後ろに入れて落ち着かせることだ。
ただ、その上で池添騎手が不運だったのは、ロードクエストが大外からの発進だったため、後ろに付けられる馬の「選択肢」が限られていたことだ。
なんとか後ろに付けられそうな馬が10番のブラックスピネルと、8番のガリバルディしかおらず、どちらも追い込みの競馬を選択していた。これが、結果的にロードクエストの後方からの競馬を決定的なものにさせたということだ。
【血統診断】
マツリダゴッホ×ダンチヒ系という組み合わせは、朝日FS(G1)2着のアルマワイオリが該当する。アルマワイオリは、他にもアーリントンC(G3)2着やニュージーランドT(G2)3着などがある仕上がりの早いマイラーだ。母マツリダワルツが岩手競馬での活躍馬だったこともあり、一見血統的に地味な印象を持たれがちだが、母系には母父チーフベアハートを始め、母母父リアルシャダイ、母母母父ノーザンテーストと日本競馬を支えた一流の種牡馬が並んでいる。そして、何より特筆されるのが、3代母のダイナクレアーの存在だ。天皇賞馬サクラチトセオーや、エリザベス女王杯を勝ったサクラキャンドルなどが近親に並ぶ、日本でも屈指の牝系の一つである。従って、血統的見地から判断したロードクエストは、決して他のマツリダゴッホ産駒のような早熟のマイラーではなく、豊富な成長力を秘めている。大舞台を勝ち切るだけの底力も備えており、距離はマイルがベストながら成長如何では中距離も守備範囲になるはずだ。
≪結論≫
『考察』ではロードクエストが富士Sで何があったのかを述べたが、その上で本馬が「スローペースで後方から競馬したため敗れた」という見解は、必ずしも正しくはない。
もし、本馬がそうであれば、後方を走っていたのだから最後まで伸び続けていなければならないはずだ。
しかし、最後の直線のロードクエストは、一瞬ブラックスピネルを捉えて6、7番手まで浮上しているが、残り200m付近でズルズルと後退して脱落。