「迷惑をかけて申し訳ない」マイルCS(G1)はミッキーアイルが乾坤一擲の逃げ切り!稀代の逃亡者が約2年半ぶりの美酒に酔うも浜中俊騎手は騎乗停止
当時、3歳馬だったミッキーアイルは現役屈指のスピードに任せて強烈な逃げを打ったが、直線で”逆噴射”。この結果から「折り合いをつけ、脚を溜めないことには、古馬一線級には通用しない」と考えるのはごく自然な成り行きだった。
だが、それが結果的にミッキーアイルから”個性”を奪った。
そこから主戦の浜中俊騎手は、ミッキーアイルに懸命に控えることを覚えさせたが、それは結果的に戦績を安定させたものの、かつて5連勝した”怪物”を善戦マンに変えてしまったのだ。
そんな中、転機が訪れたのは今年の阪急杯(G3)だった。
このレースでは、浜中騎手が落馬負傷していため松山弘平騎手に乗り替わっていた。当時、通算重賞3勝と実績のない鞍上が不安視されたが、先入観のない松山騎手はミッキーアイルを逃げ馬に戻し、3歳秋のスワンS以来、約1年半ぶりの勝利に導いたのだ。
このレースぶりに周囲からは「これまで浜中騎手が教え込んできたことが無駄になった」と批判もあった。
だが、馬も人も、必ずしも抑え込むことばかりが教育ではないということが、今回のレースで証明されたのではないだろうか。