JRA横山典弘「世界レコード」逃走の衝撃! 菊花賞(G1)セイウンスカイVS武豊スペシャルウィーク……「マジック」が常識を覆した伝説の98年
25日、京都競馬場で行われるクラシック最後の1冠・菊花賞(G1)は、コントレイルが2005年に父ディープインパクトが達成して以来、15年ぶりの無敗3冠馬を目指す。
先週の秋華賞(G1)は、デアリングタクトが史上初の牝馬による無敗3冠を成し遂げた。コントレイルも無事に無敗3冠ともなれば、同年度に牡牝無敗3冠馬が誕生することになる。実現すれば、長い競馬史上でも初となる歴史的大偉業であり、名実ともに伝説の1年となるだろう。
その一方、菊花賞で断然人気の支持を受けた馬が涙を呑んだ事例も決して少なくない。
近年でも2000年のアグネスフライト(5着)、98年のスペシャルウィーク(2着)、92年のミホノブルボン(2着)は単勝1倍台の圧倒的1番人気で挑んだものの、栄冠を手にすることは叶わなかった。
なかでも横山典弘騎手とセイウンスカイのコンビが、武豊騎手の大本命スペシャルウィークを破った98年の菊花賞は競馬ファンの間でも根強い人気がある名勝負だ。
同世代にはエルコンドルパサー、グラスワンダーをはじめキングヘイロー、アグネスワールド、エアジハードら錚々たる面々が揃っていたように「最強世代」に推す声も多い。
そんな超ハイレベル世代のクラシック最終章を彩ったのがスペシャルウィークVSセイウンスカイに沸いた菊花賞だった。
2頭が初めて顔を合わせたのは弥生賞(G2)。逃げ粘るセイウンスカイをゴール前で半馬身捉え、スペシャルウィークが勝利。これを評価したファンは皐月賞でスペシャルウィークを単勝1.8倍の1番人気に支持した。
だが、それまでコンビを組んでいた徳吉孝士騎手から関東の名手・横山典弘騎手に乗り替わったセイウンスカイがライバルを返り討ち。一見、非情にも映る乗り替わりかもしれないが、陣営の期待に最高の結果で応えた横山典騎手の好騎乗が光った逆転劇だったといえる。
続く日本ダービー(G1)では、2着馬に5馬身差で圧勝したスペシャルウィークに対し、伸びを欠いたセイウンスカイはまさかの4着と完敗を喫した。当時まだ若手だった福永祐一騎手がキングヘイローで逃げて惨敗し、顔面蒼白になったのもこの時のダービーだ。