JRA社台ファーム動いた!? 西山茂行オーナー「大逆転」超大物から“直電”でリーチザクラウンが「神様」になった日【特別インタビュー】
先日の秋華賞(G1)でJRA史上初の牝馬三冠を成し遂げたデアリングタクト。今でこそ歴史的名牝の仲間入りを果たした本馬だが、当歳の時にはセールで買い手がつかない「主取り」になるなど、決して評価の高い馬ではなかった。
しかし、こういった“劣等生”が突如、競馬界を席巻するような活躍を見せるのが、競馬のロマン溢れるところであり、最大の魅力でもある。
そして、そんな競馬の魅力に取りつかれた名物馬主がここにもいる。「ニシノ」「セイウン」といった冠名で有名な西山茂行オーナーだ。
これまでニシノフラワー(桜花賞、スプリンターズS)、セイウンスカイ(皐月賞、菊花賞)、現役でもセイウンコウセイ(高松宮記念)など、数々の名馬に携わってきた西山オーナー。
山あり谷ありの馬主生活の中でも、周囲の評価を覆した「大逆転」エピソードを語ってもらった。
――まずは、コロナ禍という難しい状況の中でインタビューを受けていただき、ありがとうございます。競馬界では10月の開催から、ようやく一部のファンが競馬場へ入場できるようになりました。馬主の方々にも様々な制約があったと思います。
西山茂行オーナー(以下、西山オーナー) 最初は馬主席に入ることも禁止されていました。そこからレースに所有馬が出走する馬主本人、その人の家族……段階を踏んで、少しずつ前に進んでいる感じですね。今(取材日現在)でも競馬場で、騎手や調教師と接触することは禁じられています。
――西山オーナーの場合は、東京馬主協会でのお立場(理事・馬主席委員長)もあります。
西山オーナー 馬主というのは、競馬に対して競走馬という資源を提供しているんですよ。そういう意味ではJRAに所属する調教師や騎手、厩務員と近い立場ですから。
――仮にレースに勝っても、表彰式や口取り式が行われないなど、馬主としての醍醐味が味わえないのは寂しいですよね。
西山オーナー 醍醐味ですけど、競馬そのものが止まってしまうよりは……。賞金が入らなくなって、預託料だけ支払うような状況は避けたいですし、馬主としても騎手との会食や祝賀会など、必要のない接触はなるべく控えるようにとは言われています。
この状況では、誰もが仕方ないと思うしかないんですけど、秋華賞からは口取り式が再開される予定(取材日当時)です。
――それは大きな前進ですね。
西山オーナー まだG1レースだけですが、とりあえず今開催の秋華賞、菊花賞、天皇賞・秋では口取りを再開しようと。京都競馬場が(長期改修工事のため)最後になりますし、そこでデアリングタクト、コントレイルといった三冠馬が2頭も出る可能性があります。
そんな歴史に残る瞬間に写真の一枚も残せないのは、やはり寂しいということで「G1だけは」という話になりました。
――確かに、競馬史に残す「記録」としても、勝ち馬の関係者の一同が一枚に納まる口取り式の写真を残す意義は大きいと思います。