【徹底考察スペシャル】香港カップ(G1) モーリス「2000mを克服したマイル王にもはや死角なし?完勝の天皇賞・秋で世界のR.ムーア騎手が認めた『ミス』とは」
エイシンヒカリとラブリーデイが並ぶようにして最後の直線へ。その間をロゴタイプが割ろうとした瞬間、馬場の真ん中を通ってモーリスが圧倒的な手応えで先頭に躍り出る。やや早めの仕掛けだったが、脚色はまったく衰えない。
モーリスをマークしていたリアルスティールがそれに続いて必死に脚を伸ばすが、世界の名手R.ムーアの手綱で輝きを取り戻した昨年の年度代表馬はあまりにも強かった。最後はステファノスが3番手に上がったところがゴール。2番手にリアルスティールが続いたが、モーリスが危なげない走りで2000mを克服し、再び日本競馬界の頂点に立った。
【血統診断】
結論から述べると、血統的に中距離はむしろ歓迎なはずだ。血統構成だけを見れば、父スクリーンヒーローのもう一頭の代表産駒ゴールドアクター(有馬記念)よりも長い距離をこなしてもおかしくないほどスタミナに優れた配合だ。
母メジロフランシスこそ未勝利だが、祖母メジロモントレーは牝馬ながら2500mのアルゼンチン共和国杯を制すなど、豊富なスタミナとパワーを持つ。母父のカーネギーにしてもスタミナやパワーに寄った典型的な欧州馬だ。従って、本来とてもモーリスのようなスピード溢れるマイラーが生まれる配合ではない。
ただ祖父のグラスワンダーは、1400mから2500mまでの重賞勝利がある日本競馬史に残るオールラウンダー。隔世遺伝によって、マイルで高いパフォーマンスを誇るモーリスが2000mよりもさらに長い距離をこなせる可能性さえある。
ただし、競走馬の距離適性は血統だけで判断できるものではない。菊花賞と天皇賞・春を制したキタサンブラックがその典型で、気性や操縦性によって競走馬の距離適性は大きく左右される。
秋の天皇賞を制した馬に2000mに対する不安要素を述べる理由は何もない。