JRAノーザンファーム「第2」のコントレイル、デアリングタクト許さん!? 屈辱の2020年から「2021クラシック」独占へ、驚異の包囲網
2021年が幕を開け、2020年度の各種リーディングが確定。C.ルメール騎手の4年連続リーディングや、激戦となった調教師リーディングを矢作芳人調教師が制したことなどが話題に挙がる中、ほぼニュースにもなっていないのが生産者リーディングの行方だ。
それもそのはず。近年の生産者リーディングは、ノーザンファームが10年連続で首位を堅持。それも獲得した賞金163億3596万6000円は、2位社台ファームの64億9048万8000円とはケタが1つ異なる圧倒的な結果だ。JRAから発行された生産牧場ランキングには、その栄光となる生産馬の特別勝ちが約4ページにわたって列記されている。
ただ、この結果は年が明けた段階で多くの人々が確信していたことであり、言ってしまえば2021年の生産者リーディングもノーザンファームである。これは、競馬関係者でなくとも誰もが“知っている”未来だ。
しかし、そこに「一切の争いがない」と言えば、そんなことはないのかもしれない。少なくとも、2020年のクラシックはノーザンファームにとって歴史的な屈辱のシーズンだったはずだ。
コントレイルとデアリングタクトという無敗の三冠馬が2頭同時に生まれた2020年。しかし、この2頭はノーザンファームの生産馬ではない。ノーザンファームがクラシックを無冠で終えたのは2006年以来、実に14年ぶり。絶対王者にとって、あってはならない不作のシーズンだった。
ただ、逆に述べれば今年はこれまでノーザンファーム1強を許してきた他の生産者にとって、希望が持てるシーズンだったといえる。一昨年、ディープインパクトとキングカメハメハという2代巨頭が揃って世を去ったこともあり、ノーザンファーム時代の終焉を唱えることも決して小さくはない。
しかし、絶対王者の復権への準備は着々と進んでいるようだ。
昨年12月には阪神ジュベナイルフィリーズ、朝日杯フューチュリティS、そしてホープフルSと2歳王者を決める3つのG1が行われたが、ノーザンファームはそのすべてでワンツーゴールを決めている。3着まで対象を広げても、阪神JFでビッグレッドファーム産のユーバーレーベンが3着と気を吐いただけだ。
それだけではない。昨年も函館2歳S(G3)で幕を開けた2歳重賞戦線だが、ノーザンファーム生産馬は、その9割以上を勝利。勝てなかったのは函館2歳Sと新潟2歳S(G3)の2つだけだった。
これだけを見ても、今年のクラシックへ着々と「包囲網」を敷いていると言えるだろう。逆に今年のクラシック牝馬6冠すべてをノーザンファームが独占しても特に驚けない勢いだ。
アーモンドアイという絶対的な存在が引退し、群雄割拠の競馬界。今年も新たなスターホースの誕生が期待されるが、その出生がノーザンファームであることは、今からもう既定路線なのかもしれない。