JRA横山典弘「重賞未勝利」もご満悦!? 騎乗停止もあり「未だ6勝」波に乗れていない男が「素直に喜べる」理由とは
7日、中山競馬場で行われた弥生賞ディープインパクト記念(G2)は、タイトルホルダーが優勝。単勝1.3倍の圧倒的支持を集めたダノンザキッドを破る大金星となった。
タイトルホルダーを見事な逃げで勝利へと導いたのは、デビュー5年目となる横山武史騎手。昨年まで、ウインマリリンでのフローラS(G2)のみと重賞勝ちにあまり縁はなかったが、今年は早くも重賞2勝目を挙げている。
一方、いまいち波に乗れていないのが父である横山典弘騎手だ。
今年は未だ6勝で重賞勝ちもなし。1月10日の斜行による4日間の騎乗停止もあり、親子で明暗がクッキリと分かれている。
それを象徴するかのように、共同通信杯(G3)ではステラヴェローチェで1番人気に推されながらも5着。その一方で、横山武騎手が騎乗したエフフォーリアは4番人気ながら見事な勝利、デビューから3連勝で一気にクラシック候補へと躍り出た。
共同通信杯、弥生賞と、主要となる3歳重賞で2勝を挙げた横山武騎手。それに対し、横山典騎手はステラヴェローチェの敗戦で存在感が薄れている状況だ。
4月に控えた桜花賞(G1)でも、アカイトリノムスメで参戦することが決定している横山武騎手と比べ、横山典騎手は桜花賞の出走を懸け、阪神競馬場で行われるフィリーズレビュー(G2)に参戦。騎乗予定のオパールムーンは収得賞金1000万円と現時点で想定される出走ボーダーに届いておらず、桜花賞の優先出走権となる3着以内が必須と窮地に立たされている。
しかし、自身の不振はさておき、息子の活躍を誰よりも喜んでいるのが父である横山典騎手だろう。
横山典騎手は以前、『Sports Graphic Number』(文藝春秋)のインタビューで、横山和生騎手が重賞を勝ってどう思いますかと聞かれたら「素直に喜べる。父として息子が勝ったことがうれしいってね」と回答。横山武騎手の重賞勝利も当然のように喜んでいるはずだ。
横山典騎手は当時、まだデビュー前だった横山武騎手について、「あいつはマジで“ヤバい”から覚えとけ。恐らく、相当なもんになる」と、早くから才能を認める発言を『デイリースポーツ』の取材に対し答えている。
どうやら酒席での発言だったらしいが「オレが思うに約10年なんだ。トップになれるような才能を持つジョッキーってのは、だいたい10年ごとに現れているんだよ。周期的にウチのやつも“それ”に当てはまる」と“10年に一人の逸材”だと評していたようだ。
今年のクラシックでは「武史フィーバー」が見られそうな状況とご満悦に違いないが、現役のジョッキーである横山典騎手にとってはもちろんライバルでもある。今週のフィリーズレビューでは、中山で騎乗する息子に父の威厳を見せたいところだ。