JRA「絶望的」敗戦で苦境に立たされたコントレイル! 大阪杯(G1)レイパパレの台頭で勢力図が一変、失地回復に求められる王者の条件
近年稀に見るハイレベルなメンバーが集まった先週の大阪杯(G1)。昨年無敗でクラシック三冠を制したコントレイル、春秋マイル制覇を含むG1・3勝を挙げたグランアレグリア、4歳世代牡馬NO.2といわれたサリオスが三強を形成した。
上位人気3頭を中心に馬券も売れた。3頭を組み合わせた3連複は3.2倍の1番人気、コントレイル→グランアレグリア→サリオスの3連単は8.7倍と人気が集中したことも、ファンが他の馬と力の差があると評価していたことが伝わる内容だ。
だが、そんな「三強対決」の下馬評を嘲笑うかのように圧勝したのがレイパパレ。4馬身離された2着に6番人気の伏兵モズベッロが入り、三強からはコントレイルが唯一3着に食い込むのが精一杯だった。
コントレイルで敗れた福永祐一騎手は「思っていたより馬場の悪化が進んできましたし、ラストは苦しくなってしまいました」、4着グランアレグリアのC.ルメール騎手は「休み明けでこういう馬場は大変でした」、5着サリオスの松山弘平騎手は「馬場が想像以上に悪くなって苦しくなりました」と振り返った重い馬場。スイスイと逃げ切ったレイパパレ、重馬場巧者モズベッロが激走したことからも巧拙が明暗を分かつ結果ともなった。
サリオスは内を突いて伸び切れなかったとはいえ、次走の安田記念(G1)を目標としている馬。2000mが初距離だったグランアレグリアはルメール騎手が「良馬場なら問題ない」とコメントしたように、次走で距離克服の手応えを感じた走りだった。
一方、敗れた3頭の中でも最もダメージが大きかったのがコントレイルだろう。3000mの菊花賞(G1)を制したとはいえ、陣営は中距離がベストの見立て。ベストは2000mと評したことからも前記2頭と違い「言い訳」の利かない条件でもあった。
同馬を管理する矢作芳人調教師は「これ以上ないデキで臨めたが、全て馬場に尽きる」と想像以上に悪化した馬場コンディションを敗因に挙げ、「宝塚記念で巻き返したい」と前を向いた。
しかし、勝ち馬レイパパレからは4馬身以上も離された上に、モズベッロにも先着を許した内容は完敗。マイルがベストと見られていたグランアレグリアやサリオスと「大差のない」結果は、さらに距離の延びる宝塚記念で巻き返すには「絶望的」な敗戦だったといっても過言ではない。
昨年の宝塚記念(G1)は、稍重の発表以上に馬場が悪化したレース。6月27日に開催される今年が良馬場だったとしても馬場はかなり傷んでいるだろう。それに梅雨の時期に行われるため、またしても雨中のレースとなる可能性も十分に考えられる。
再び重馬場でやぶれるようなことがあれば、最強馬からはますます遠ざかることにもなりかねないだけに、崖っぷちに追い詰められた王者としては譲れない戦いが待っている。
宝塚記念には昨年の覇者クロノジェネシスの出走が濃厚でもあり、同馬は重の鬼ともいえる相手である。
コントレイル陣営が目指しているのはあくまで現役最強馬という高み。距離の不安だけでなく、良馬場でなければ力を発揮できないという弱点も露呈したことは大きな痛手となりそうだ。