JRA皐月賞(G1)ヴィクティファルス池添学調教師、遠いG1制覇……「G1職人」池添謙一との兄弟タッグも“強行”ローテで、またも勝負弱さ露呈

エフフォーリア 撮影:Ruriko.I

 18日、中山競馬場で行われた皐月賞(G1)は、2番人気のエフフォーリアが優勝。デビューから無傷の4連勝で牡馬クラシック1冠目を制した。

 そのエフフォーリアと2月の共同通信杯(G3)で対戦し、2着に敗れていたのがヴィクティファルス(牡3歳、栗東・池添学厩舎)だ。

 その時は2馬身半という決定的な差をつけられたが、キャリア2戦目での好走は高く評価された。続くスプリングS(G2)を勝ったことで、株はさらに上昇。皐月賞では一躍有力馬の1頭にのし上がった。

「管理する池添学調教師と、鞍上の池添謙一騎手は兄弟ということでも注目度を集めました。ヴィクティファルス推しの競馬ファンから多く聞かれたのが『鞍上の勝負強さ』を評価する声でした。

兄の池添騎手はこれまで、オルフェーヴルやスイープトウショウなどで数々のG1タイトルを獲得。「グランプリ男」や「代打男」「G1職人」の異名を持ち、特にG1レースでの勝負強さは誰もが知るところです」(競馬誌ライター)

 そんな鞍上の存在も買われてか、皐月賞では4番人気に支持されたヴィクティファルス。ところが肝心のレースでは中団やや後方を進むと、直線伸びきれず9着に終わった。

「レース後に池添騎手が『レースが流れて3角で動いていったが……』と話していた通り、ヴィクティファルスは差す競馬で結果を残していたので、池添騎手は早めに外に出したかったのだと思います。ところが5番枠ということで、道中は馬群の真ん中に閉じ込められる形になってしまいました。

4コーナーでようやく外に出したのですが、すぐ前を走っていた先行グループの4~5頭が次々と接触し、そろって外に膨れたため、ヴィクティファルスもそのあおりを受けるという不運に遭いました」(同)

 勝負強い兄・池添騎手をもってしても人気を大きく裏切る結果となり、念願の兄弟G1・Vは叶わなかった。弟の池添学調教師にとっては、今回がG1通算20度目の挑戦だったが、またしても悲願達成はならず。毎年のように有力馬をG1の舞台へ送り込んでいるが、ビッグタイトル獲得は遠い。

 別の競馬記者は2か月強という短期間で3度目の長距離輸送になったローテーションも敗因の一つとして挙げた。

「共同通信杯から中4週でスプリングS。さらに中3週で皐月賞という、トライアルを挟まない形で野ぶっつけ本番も多い、ここ数年のトレンドとは異なるハードなローテーションでしたからね。

しかも、3戦すべてが栗東から関東への長距離輸送で、見えない疲れが残っていたことは否めません。しかし、池添厩舎の馬はG1ではよく穴をあけるのですが、人気になるとさっぱりですね」(競馬記者)

 池添学厩舎のG1通算成績は、「0-2-4-14」と2~3着は決して少なくない。記者の言葉通り、特徴的なのが、人気別の成績だ。上位4番人気までに支持された馬は今回のヴィクティファルスが4度目で、全て馬券圏外。一方、5番人気以下だと、「0-2-4-10」。昨年の有馬記念2着に入ったサラキアなど人気のない馬の方が好走している。

 兄の池添騎手とは真逆で、弟の池添学調教師はなかなか勝ちきれない“勝負弱い”一面があるのかもしれない。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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