マカヒキがムーア騎手とのコンビで京都記念へ。「ダービーを勝っても報われない」男泣きを見せた川田将雅の心中やいかに……
なにより、3歳馬の頂点であるダービー制覇に導いているという事実は大きい。乗り替わりが当たり前となった日本競馬界だが、近年のダービー優勝騎手を見渡しても優勝後に1度も騎乗しないまま鞍上が替わった例は皆無である。
誰を非難したいわけでもないが、川田騎手が不憫とも当然考えられる。そしてそれ以上に、川田&マカヒキのコンビを応援していた競馬ファンの気持ちはどうなってしまうのだろう? ファンは馬の所有者ではないとしても、馬券を通してある意味では馬主以上に切実な眼差しを投げかけているのである。
その昔、競馬通の詩人・寺山修司は自らの著作のなかで「私の考えだけを言えば、吉永正人は当代随一の名騎手である。(中略)馬主各位。調教師各位。もっと吉永に乗るチャンスを与えてやって下さい」(菊花賞十番勝負)と語り、自身が愛情を注いだ故・吉永正人騎手を応援した。確かに当時と比べて時代は変わったのかもしれないが、人の心自体はそう簡単に変わるものではないはずだ。