JRA「迷走」サリオス安藤勝己氏VS堀宣行調教師で意見真っ二つ……「何度も言うけど、マイルじゃ忙しい」「能力を出すのに何の問題もない」世代No.2の本当の姿は
元JRA騎手で競馬評論家の安藤勝己氏は、2歳の時から自身のTwitterを通じて「ゆくゆく2000mまでならこの馬(コントレイル)、それ以上ならサリオスって構図になりそう。使ったレースとは逆の適性やとオレは思う」とサリオスのマイル挑戦に疑問を投げかけており、今回の敗戦にも「何度も言うけど、サリオスは基本マイルじゃ忙しい」と苦言を呈している。
「2歳の時にマイル戦で成績を残しても、3歳秋以降はそれぞれの得意距離にカテゴライズされますからね。『超一線級のマイラーに交ざってどうか』という疑問はありました。
また陣営にとって、今後の指針になったはずの昨秋のマイルCS(G1)では、大きく出遅れてほとんどレースに参加できず……最後は上がり最速の末脚で追い上げて5着でしたが、これでマイルがベストとは判断できなかったと思います。そういった意味では、今回の安田記念の敗戦で、ある程度の答えが出た気もしますね」(同)
また、安藤氏による見解の裏付けとなったのが、姉サラキアの活躍だ。
サラキアは3、4歳と2000m以下を中心に使われていたが、重賞勝ちには一歩届かない存在だった。しかし、5歳を迎えた昨秋、1800mの府中牝馬S(G2)で重賞初勝利を挙げると、その勢いのまま2200mのエリザベス女王杯(G1)で2着。2500mで行われた年末の有馬記念(G1)でも11番人気ながら2着に好走し、ファンを驚かせた。
「ディープインパクト産駒の姉サラキアに対して、サリオスはハーツクライ産駒。牝馬・牡馬の違いもあって、血統的に見ればサリオスがサラキアより、さらに距離をこなしても不思議ではありません。
陣営としては2000mの皐月賞(G1)で0.1秒差だったコントレイルに、2400mの日本ダービーで0.5秒差をつけられたことで距離を短縮したようですが、それ以上に位置取りの差が大きかったような気がします。実際に上がり3ハロンでは0.1秒しか負けていないわけですし、最後も止まったという感じではありませんでした」
一方で、堀調教師は安田記念前の共同会見でサリオスの距離適性について問われ「細かい要素が影響しますから、一概には言えない」と明言を避けている。
ただ、前走の大阪杯(G1)については、右回りで小回りの2000mに「この馬にとって大きなチャレンジだった」と話していることから、少なくとも安田記念の東京マイルには小さくはない適性を感じていたはずだ。
「難しいなか、陣営が上手く調整してくださったと思いますが、申し訳ない結果になってしまいました」
レース後、そう関係者やファンへ謝罪した松山騎手。だが、あの展開では「誰が乗っても……」と思う人も少なくないだろう。果たして世代No.2は今後、どこへ矛先を向けるのか。休養中のコントレイルと共に、このままでは終われないはずだ。(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。