怪物エピカリスの米国3冠挑戦は実現せず?昨年のラニにあって、エピカリスに足りないものとは。「10年に一頭の逸材」が背負う悲しき宿命


 さらに昨年の結果を鑑みれば、わずか7頭立てのレースだったの上、国内で能力が疑問視されている日本馬のラニが勝ったことも然ることながら、3着のユウチェンジと5着のオンザロックスは未だ500万下で苦戦が続いているレベルの馬。

 もしも、昨年の状況がそのまま続くようなら、エピカリスの能力をもってすれば「確勝級」という目論見が立ってもおかしくはないだろう。この時期にはダートで適当な番組もなく、遠征する価値は十分にあるといえる。

 無論、米国3冠もUAEダービーに匹敵するだけの高額賞金レースだ。だが、当然ながらそのレベルは「一気に跳ね上がる」と述べても過言ではない。昨年のUAEダービーの覇者ラニが9着と歯が立たなかったように、米国のダート競馬のレベルは世界最強クラスだ。

 実際にUAEダービーで約1億3000万円を稼ぎ出したラニが、米国3冠ではベルモントS・3着の15万ドル(約1600万円)の獲得に終わっている。その経緯を踏まえれば、エピカリスの陣営が難色を示しても頷けるというものだろう。

 さらに決定的な理由となるのが、米国3冠のタフなローテーションだ。

 昨年を例に挙げても5月7日にケンタッキーダービー、21日にプリークネスS、6月11日にベルモントSと、わずか1月余りの間に3レースをこなす過酷な戦い。実際に現地でも完走する馬は少数派で米国3冠を戦い抜くには、規格外のタフさが要求される。逆に述べれば、昨年のラニにはそういった”稀有な才能”があったということだ。

 果たしてエピカリスにそこまでのタフさがあるのかは定かではない。だが、少なくともオーナーサイドがそんな「膨大な故障のリスク」を背負う選択肢を取る可能性は薄いと述べざるを得ない。

 ましてやエピカリスほどの逸材、言い換えれば「国内で多額の賞金を稼ぎ出す可能性」を3歳春で潰してしまうかもしれない”覚悟”は、多くの人々がそう簡単に背負えるものではないということだ。

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