【エアスピネル前走考察】武豊騎手が東京新聞杯(G3)に向け示した今後の課題と可能性。約1年2カ月ぶり勝利で見えた高いマイル適性で「覚醒」?
勝負どころで外々を回らされ直線入り口では6番手、先頭まで2馬身以上の差があったエアスピネル。だが、そこからラスト200mのハロン棒を通過する頃には先頭に立ち、逆に後続を1馬身ほど突き放しにかかっている。
この間のレースラップは11.5秒。おそらくこの区間でほぼ先頭にいたマイネルハニーのラップと考えていいだろう。エアスピネルはその200m区間で約2馬身差を詰めた上に、最終的には1馬身突き放している。したがって、エアスピネルのラップは推定11.1秒、もしくは11.2秒といったところか。
さすがに最後はハイペースを前から押し切ろうとしたことや、早めに先頭に立ったことなどでブラックスピネルに詰め寄られたが、例え1ハロンでもあれだけ速い上りが使えたことは大きい。
仮にこういった末脚が3ハロン持続すれば、33.3秒から33.6秒。あくまで理論上だが、これはここまで超スローペースだった新馬戦の33.9秒を除くと、すべて34秒以上の脚しか使えなかった本馬にとって大きな可能性を示唆している。瞬発力に磨きをかけるということは、エアスピネルが今後G1を勝つために避けては通れない課題の一つだからだ。
レース後、主戦の武豊騎手が「直線では弾けると思いましたが、もたついてしまいました」と話したのは、おそらく瞬発力に課題があるからだ。
勝ったにもかかわらず、そういった声が聞かれるのはエアスピネルに対する期待が高い証拠だ。昨年の年度代表馬キタサンブラックと並んで、稀代のカリスマ騎手が「今年の一頭」に挙げたエアスピネル。ここで進化した姿を披露し、天才騎手の期待に応えたいところだろう。