「24年目で初めて」池添謙一も驚いた真夏の“珍事”、「おそらくない」JRAも認めた札幌記念(G2)のレアケース! 武豊や福永祐一もこだわる手綱の重要な役割
22日の札幌記念(G2)に出走したバイオスパーク(牡6歳、栗東・浜田多実雄厩舎)はスタート直前、手綱の一部が口のなかに絡まるアクシデントが発生。発走後に制御不能となり、1コーナー手前で競走を中止した。
JRA広報も「(過去に)おそらくない」と発表したほどのレアケース。手綱を握った池添謙一騎手も自身のツイッターで「(デビュー)24年目で初めて」と語っている。
手綱の一部が馬の口のなかに絡まる……なかなか想像しづらい状況で、非常に珍しいケースであることは間違いない。先の池添騎手のツイッターでは、バイオスパークがゲートを潜ろうとした拍子に右側の手綱が緩み、それが口の中に入って絡まる形になったと説明している。
もしも手綱の長さが短ければ、口のなかで絡まなかったかというと、そんな単純な話ではないが、いずれにせよこの“珍事”は、騎手が握る手綱の長さに関係していたといえる。
例えば、「長めの手綱を使っている」と公言している武豊騎手。馬の口にあまりハミを当てたくないのが“長手綱”を愛用する理由で、「(できるだけ)手綱をプラッとさせたい」とも語っている。武豊騎手が好む手綱の長さは、自身のこれまでの経験から試行錯誤を重ねてたどり着いた、こだわりの長さでもある。
その武豊騎手以上に手綱へのこだわりを持つのが、福永祐一騎手だ。
福永騎手の場合は、武豊騎手とは反対に短めの手綱を使用。いわゆる“短手綱”を好んで使用するケースが多く、「長手綱だと馬を抑えるとき、重心を後ろにかけないといけないが、(自分は)道中のバランスは前に重心を置きたいので、短い方が良い」と、その理由を語っている。
手綱にこだわりを持つ福永騎手の騎乗を振り返れば、宝塚記念(G1)が行われた6月27日の阪神競馬場では、こんな出来事があった。
当日9Rの城崎特別で、ジェラルディーナに騎乗した福永騎手。スタートしてから3コーナー付近で不可解な動きをみせ、最終4コーナーも曲がり切れずに、直線は馬なりでゴール。一部のファンからは非難する声も聞かれた。
しかしその原因は、走行中に右手綱の尾錠が外れたためと判明。馬の口の中にあるハミと手綱を繋ぐ尾錠が外れたということは、手綱が切れたのと同じこと。結果、制御不能となったジェラルディーナは、3コーナーから最後の直線コースにかけて外側に逃避。決して無気力な騎乗ではなく、馬具に端を発するアクシデントであった。事実、ジェラルディーナを管理する斉藤崇史調教師には、馬具管理を怠ったとして過怠金20万円が課されている。