JRA 武豊「今後が楽しみ」クラシック級の大物候補は次走、あの不出世レースを予定……
9月の中京芝2000mで行われた新馬戦を、武豊騎手の手綱で快勝したトゥデイイズザデイ(牡2歳、栗東・池江泰寿厩舎)。次走は引き続き同騎手とのコンビで、11月に阪神で開催される京都2歳S(G3)を予定していることが明らかになった。
同馬は今年の日本ダービー馬シャフリヤールに新馬戦でクビ差まで迫り、乗っていた武豊騎手に「この世代で一番いい馬だと思った」とまで言わしめた素質馬ヴィヴァンの半弟。管理する池江師は、「ダービーに毎年出走させてもらっているが、そのレベルの馬」と話すほどの大物候補だ。
初戦からレース間隔が約2ヶ月空いたことについて、池江師は「体もまだ寂しかったので、成長を促すという感じですね」と、『スポーツ報知』に対してコメント。充電期間を経て、ひと段階逞しくなったトゥデイイズザデイの姿が仁川の舞台で期待できそうである。
また、コンビを組む予定の武豊騎手は、2014年に重賞へと格上げされた同レースを、ここ7年間で3勝。15年、17年、19年と隔年で勝利を挙げており、21年の今年は“勝つ順番”となっている。
初戦Vの後、自身の公式ホームページに「今後がますます楽しみになりました」と喜びを綴っているように、トゥデイイズザデイに寄せる期待は大きそう。ここで賞金を加算できれば、来年のクラシックに余裕を持って臨むことも可能となる。今後に向けて手中に収めておきたいタイトルだろう。
一方で、出走を予定している京都2歳Sには、やや不吉なデータが存在している。
重賞に格上げとなった14年以降、同レースの勝ち馬7頭のうち、翌年にクラシックホースに輝いた馬は現時点でゼロ。それどころか、馬券圏内に入った全21頭のうち、来春のクラシックで3着以内に入線を果たした馬もナシという、散々な成績となっている。
一応、中にはシュヴァルグランやワールドプレミアなど、後にG1ホースをなった馬も名を連ねてはいる。
だが、両馬がG1で活躍するようになったのは3歳の秋以降。皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)には出走すら叶わなかった。データ的に見れば、京都2歳Sで3着以内に入った時点で、来春のクラシックでは“不要”ということになりかねない。
「オープン特別時代の京都2歳Sは、エピファネイアやヴィクトワールピサ、ナリタブライアンなどを輩出している超出世レースでした。しかし、重賞となった14年以降は鳴りを潜めており、近年はむしろクラシックに無縁な傾向が強くなっています。
なぜそのようになってしまったのかは不明ですが、この時期に芝2000mの中距離重賞を経験させるのは、若駒にとって思いのほか負荷がかかるということなのかもしれません」(競馬誌ライター)
14年以降、同レースを武豊騎手とのコンビで勝利した、ドレッドノータス、グレイル、マイラプソディの3頭は、次走で人気を背負いながら馬券圏外に敗れている。トゥデイイズザデイで再び歴史は繰り返されてしまうのだろうか。
今年の京都2歳Sは、同馬の他にも、ハーツクライ産駒の“2億円ホース”フィデルや、シャフリヤールと同じ福永祐一×藤原英昭のタッグで初戦を快勝したキャンデセントなど、粒ぞろいのメンバーが集うことが予想されている。
重賞格上げから8年、そろそろこの辺りで不吉なジンクスに終止符を打って欲しいところだ。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。