女王ソウルスターリングはチューリップ賞(G3)からすでにアウト!? 無敗の”天才少女”に潜む、大きな「死角」とは
外的要因は単純に、阪神JF時の前年12月よりもクラシック戦線の全体レベルが上がっていること。つまり新勢力の出現だ。今年のソウルスターリングはおそらく無縁だろうが、2013年のローブティサージュのようにチューリップ賞の時点で1番人気の座が陥落すると、途端に黄色信号。クラシック戦線から脱落する可能性さえ高まって来る。
ただし、中間にエルフィンSを挟んだウオッカを除き、チューリップ賞との連勝を決めたブエナビスタとレーヴディソールは、いずれも阪神JFでも1番人気に支持されていた。上記の中で、阪神JFを1番人気で勝った馬はこの2頭しかおらず、「基準」を満たすソウルスターリングには心強いデータだ。
また内的要因は、やはりここがトライアルであるということ。当然ながら、ここで100%の仕上がりで出走する必要性は皆無であり、2010年のアパパネのように本番できっちりと巻き返すケースもみられる。
その上で、ソウルスターリングの1週前追い切りは美浦のWコースで単走。4ハロン52.7秒、ラスト12.7秒と順調に乗り込まれているものの、やはり仕上げは軽い。ただし、阪神JFの1週前も同コースで4ハロン54.8秒、ラスト13.1秒と軽いものなので、大きな問題はない。
藤沢厩舎らしい調整だが、次走の桜花賞も合わせて2度の関西遠征が控えていることも要因の1つだろう。師も「体が10kgぐらい増えている」とコメントしている。
上記の表でも関東馬はアパパネのただ1頭のみ。この時期に約1カ月で「チューリップ賞→桜花賞」という2度の関西遠征は決して楽観視できる材料ではなく、2004年のショウナンパントル、昨年のメジャーエンブレムはこれを嫌って東京のクイーンCから始動している。
したがって、近年で唯一成功したのはアパパネだけとなるが、管理する国枝栄調教師は「栗東留学」の先駆者。このアパパネの阪神JFだけでなく、2009年のマイネルキッツの天皇賞・春(G1)など、通常よりもゆとりを持って早めに栗東入りすることで結果を残している。
実際に、このチューリップ賞でも約1月前の2月18日には栗東入り。つまりアパパネは関東馬ながら「ほぼ関西馬」として、チューリップ賞→桜花賞を乗り切っているということだ。