逃げの職人・武豊に託されたかつての「超新星」リアファル復活のカギを握るのは”天才”による特別な魔法ではなく「正攻法」だ
何せ、すでに70を超えるJRA・G1を手にしている天才騎手は、未だ4番人気以下での勝利がない。つまりスランプに陥った馬とはほぼ無縁の存在で、強いて挙げるとすれば、スペシャルウィークの天皇賞・秋(G1)と最も有名なオグリキャップのラストランくらいか。
いずれにせよ、それらの復活は武豊騎手を含めた陣営が、最後まで諦めず真摯に向き合ったからこその結果だろう。少なくともオグリキャップの復活劇について、武豊騎手は「自分が特別なことをしたわけではない」と語っている。
だが、今回のリアファルに対しては、ただ真摯に向き合って「本来の競馬」に徹するだけでも復活の”きっかけ”になる可能性は充分にある。
この馬が芝で勝利を上げたマレーシアCと神戸新聞杯は、いずれもレースの主導権を握った外連味のない「逃げ」だった。菊花賞でハナを奪われながらも3着したことで、その後、先頭でレースを支配する逃げは影を潜めていた。
だが、勝ったレースはいずれも1コーナーから最後の4コーナーまでレースの主導権を握り続ける走りだったはずだ。
今年の金鯱賞は新設G1大阪杯の前哨戦としてリニューアルされ、リアファルが5着した昨年よりも遥かに強力なメンバーが顔を揃えた。率直に述べて、厳しい状況といえる。
しかし、「逃げ馬のリアファル」にとって、それはかえって好都合なのかもしれない。強敵が揃うということは、それだけ自分へのマークが薄くなるということなのだから。
この春、おそらく最も高い注目を集めるであろう大阪杯。最強の逃げ馬キタサンブラックと武豊騎手の「前」で堂々とペースを作っているのは、復活を果たしたこの馬かもしれない。