池添謙一は大舞台でなぜ勝てるのか? 昨年の有馬記念(G1)伏兵ヤマカツエース大健闘の”裏”に見えた「勝負師」としての執念
ただ、これはヤマカツエースが特別切れたのではなく、周到にレースプランを練り、それを徹底的実践し、乱ペースにも断固として動かなかった池添騎手の「技」が生み出した結果だ。
実際に有馬記念を除いて、ヤマカツエースがオープンクラスで上がり最速を記録したのは重馬場の福島記念(G3)の37.4秒と、稍重のファルコンS(G3)の35.9秒だけだ。基本的に切れる馬ではない。
有馬記念もメンバー最速とはいえ、あれだけ凄まじいペースだったからこそ1位といえる35.1秒。これは前年の有馬記念でいえば6位タイ。逃げて3着に敗れたキタサンブラックと同タイムとなる。
あれから3カ月。ヤマカツエースが”連覇”を懸けて金鯱賞(G2)に挑む。昨年の金鯱賞は、有馬記念とは逆に大外枠から終始外々を回らされる苦しい展開だったが、見事に勝ち切った。これで2000mの重賞は3勝目になる。
これまで何度もG1の壁に跳ね返されながらも、着実に力を付けてきたヤマカツエース。池添騎手との”共同作業”で繰り出した有馬記念の”豪脚”が、どの程度「騎手の力」によるものなのか……今回、そして次の大阪杯(G1)の走りで見えてくるはずだ。
目標となる大阪杯に有馬記念の1着馬と3着馬が不在である以上、4着馬の主戦を務める池添騎手が”色気”を持たないわけがない。もしかしたら2000mの大阪杯がG1に昇格したのを最も喜んでいるのは、この「勝負師」かもしれない。