JRA 福永祐一以来の「大記録」達成の裏で新人騎手がホロ苦デビュー!? まるで「ランドオブリバティ」のアクシデント遭遇で手痛い洗礼
3月に月が替わって新人騎手が続々とデビュー。中でも石橋守厩舎所属の角田大河騎手は、阪神1Rで幸先よくデビュー初騎乗初勝利を達成すると、続く阪神2Rも勝利。福永祐一騎手以来の新人騎手デビュー2連勝を果たした。
また、池添学厩舎所属の大久保友雅騎手もデビュー戦で減量特典を生かした軽快な逃げの手を打って、敗れはしたものの5番人気の中穴を2着にもってきた。他にも今村聖奈騎手が初日から馬券に絡むなどして、初日から新人とは思えない活躍ぶりを見せている。
好発進を決めたルーキージョッキーがいる一方で、ホロ苦いデビュー戦を迎えてしまった騎手もいる。尾形和幸厩舎所属の土田真翔騎手だ。
デビュー初日となった5日は計3鞍に騎乗予定だった土田騎手。デビュー戦となった中山1R、2Rと敗れてしまったが、3戦目となる中山5R(芝1600m)に所属の尾形厩舎から“とっておきの馬”を用意されていた。
それがネネ(牝3歳、美浦・尾形和幸厩舎)だ。デビュー当初は8着、11着と成績が低迷していたが、休養を挟んで迎えた3戦目で3着と大幅に前進。4戦目となる今回はデビュー以来最高の3番人気の高い支持を集めており、尾形師も「凄くいい雰囲気。中山の方が競馬がしやすいので前進に期待」と、連続好走に自信があったようだ。
■レースに出走したネネと土田騎手だが……
師匠の期待を受けてスタートしたネネと土田騎手。スタートで後手を踏んでしまうロスがあったが、二の脚の速さでカバーして2番手へ。道中は逃げ馬が作る緩みのないペースにも対応し、手応え十分のまま最後の直線を迎える。
前を一気に捉えるかという勢いで外に持ち出され、土田騎手のステッキが1発、2発と入る。すると、ネネはどんどん外に斜行。土田騎手も懸命に制御するが、ネネはそれに構わず左へ斜行し、最終的に5着に敗れてしまった。
「うーん……。どうしてしまったのでしょうか。右回りは走ったことがありますし、前走も口向きの悪さが垣間見えたとはいえ、特段ヨレるようなシーンは無かったのですが……。同じ中山競馬場で起こったことだけに、2020年のホープフルS(G1)のランドオブリバティを思い出しました。
幸い他の馬を巻き込む事故には至りませんでしたが、一歩間違えれば大きな事故に繋がっていました。土田騎手に制裁が下らず、ネネに平地調教再審査が下っていることから、陣営側の責任も重いと思います。次戦以降立て直してもらいたいですね」(競馬誌ライター)
他馬に迷惑をかけることなく何とか完走した土田騎手だが、災難はゴール後に待っていた。入線後は騎手が手綱を引っ張って、馬が徐々に減速していくが、ネネは土田騎手の制御を無視して暴走。最終的に外ラチに激突する寸前で土田騎手は振り落とされる事態となった。
その後人馬共に自力で立ち上がり戻ってきたため、大きな怪我はなさそうだが、土田騎手にとってはとんだデビュー日となってしまったようだ。
今回のレースについて『日刊スポーツ』の取材で「まだまだ自分の技術が足りません。先輩にも注意を受けました。これからもっと頑張っていきたいです」と、振り返った土田騎手。同じく3鞍の騎乗予定がある6日で好成績を収められるか注目だ。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……