【ドバイWCの大本命馬アロゲート】ポジション・展開不問の「異次元の万能性」&アメリカ競馬史上屈指の「スピード能力」の秘密に迫る
3月25日に遥かドバイの地で開催されるドバイワールドCデー。メインを飾るドバイワールドC(G1・ダ2000m)には、日本からも昨年のJBCクラシック覇者アウォーディーを筆頭に、アポロケンタッキー、ゴールドドリーム、ラニといった錚々たるメンバーがスタンバイしている。
しかし、これらはあくまで伏兵扱いに過ぎない。なぜなら当レースには、最新のロンジンワールドベストレースホースランキングで最高の127ポンドの評価を受けた世界最強馬・アロゲート(牡4、米・B.バファート厩舎)が満を持して登場するからだ。
イギリスの有名ブックメーカー(海外競馬の胴元)のウィリアムヒルが提示している単勝オッズは、3月23日の時点で1.36倍。日本競馬の感覚からしても大本命と言って差し支えない不動の1番人気である。力関係の把握しづらい国際競馬でこの高評価を与えられている事実は、もちろん圧倒的な能力の裏付けがあってのことだ。
アロゲートの能力を最も端的に示しているのは、カリフォルニアクロームとの一騎打ちとなったブリーダーズCクラシック(G1)。相手は昨年のドバイワールドC覇者であり2014、16年の2度に渡って全米年度代表馬に選ばれた、文字通りのアメリカNO.1ホースだ。日本馬で例えるとモーリスやキタサンブラックと比肩する地位にあるだろう。
レースは序盤、4番枠のカリフォルニアクロームが好スタートから押してハナを奪う展開。大外発走のアロゲートも二の脚はスンナリ付き、3頭ほどを前に見る先団外めにポジションを取った。
中盤までは淡々と進み、大きな動きのないまま3~4コーナーの勝負どころへ。番手で粘っていたメラトニンが徐々に後退するなか、カリフォルニアクロームは抜群の手応えで後続を離しにかかるが、アロゲートはスッと内に進路を切り替えてロスを抑えながら応戦した。
最後の直線はもはや2頭のマッチレースだった。逃げ粘るカリフォルニアクロームの手応えはなかなか衰えない。しかしアロゲートもじわじわと末脚を伸ばす。どちらが勝つのか、壮絶な戦いはゴール寸前まで続いたが、最後はもう一度外に持ち出したアロゲートが1/2馬身だけ先着。米ダート界の世代交代がなされた瞬間だった。
この1戦だけを見ても、アロゲートの強さの一端を知ることは可能だろう。しかし、同馬の本当の実力は、初のG1制覇となった3走前のトラヴァースS(G1)と、世界最高賞金額レースとして話題をさらった前走のペガサスワールドC(G1)のレースぶりを並べてこそ見えてくる。