【徹底考察】大阪杯(G1)キタサンブラック「昨秋、何故2000mの天皇賞を使わなかったのか。主戦の武豊が『これだけは避けたい』展開」
無論、そこには主戦の武豊騎手がエイシンヒカリから天皇賞・秋の先約を受けていたという背景がある。ただ、仮に陣営が2000mの競馬に自信を持っているのであれば、”譲歩”する必要は特になかったはずだ。実際にこれも”たられば”ではあるが、本馬が京都大賞典から始動したことによって、武豊騎手は南部杯(G1)のコパノリッキーに騎乗できず、ある意味ではG1制覇を逃している。
日本ダービーの大敗から東京コースを避けたという見方もあるが、本馬はダービーを除けば東京で3戦3勝。ジャパンCに進んだことからも、それは考えにくい。したがって、少なくとも陣営は「2000mよりも、もっと長い距離がベスト」と考えている可能性が高い。
また、重箱の隅をつつけば有馬記念からのぶっつけ本番というローテーションも不安視されているようだ。
この馬自身はセントライト記念(G2)と京都大賞典(G2)を休み明けで快勝しており、1週前の追い切りでも休養明けを感じさせない抜群の動きを披露している。だが、昨年同ローテで2着に敗れており、今年はG1に昇格していることからもライバル馬の臨戦態勢が大きく違って当然だ。本馬も基本的には叩き良化型で、昨年のように何かに足をすくわれる可能性は否めない。
その上で避けたいのは、昨年のような瞬発力勝負になってしまうことだ。
スローペースになることは一般的には逃げ馬にとって好ましいが、昨年の大阪杯のように瞬発力のある馬に楽に追走を許し、最後に”ヨーイドン”の展開になれば、この馬でもアンビシャスに敗れることがあるということだ。
その二の舞だけは避けたいし、仮に今年そうなれば大きく崩れる可能性さえある。少なくともライバル1頭1頭の状態は、休み明けの馬が目立った昨年よりも上である。
したがって今回も有馬記念と同様マルターズアポジーの2番手を進むことが濃厚だが、あまり楽に泳がせる展開にはしたくない。有馬記念のように直線入り口でしっかりと交わし切り、4角先頭から後続を突き放しに掛かる横綱相撲をしたいところだ。
次の天皇賞・春(G1)には最大のライバル・サトノダイヤモンドと頂上決戦が待っており、秋には凱旋門賞(仏G1)挑戦も控えている。今年もこの馬にかかる期待は極めて大きいが、初戦から強い姿を見せてほしい。
(監修=下田照雄(栗東担当))