【徹底考察】青葉賞(G2) アルカサル「東の秘密兵器が、府中の瞬発力勝負に対応しうる『2つ』のポイント」
【血統診断】
父ドリームジャーニーは本馬の世代がファーストクロップとなるため、まだ産駒の傾向がはっきりしていない。しかし、祖父ステイゴールドと母方の祖父デインヒルとの配合で考えれば、天皇賞・春を連覇したフェノーメノが該当する。母の血筋は、祖母が英オークスの3着馬で、近親にも欧州の重賞勝ち馬が多数いる良血。半兄には、ダートのエルムS(G3)を勝ったジェベルムーサ(父アグネスタキオン)がいるが、こちらは芝の中距離馬になったようだ。ロックオブジブラルタル肌馬にステイゴールドの血を持つドリームジャーニーという配合はパワー十分。急坂のある中山は得意なコースだろう。ただ、コース形態上、得意のまくり競馬が不発になりやすい東京で未勝利だった父の走りを見る限り、中山を2戦連続でまくり勝ちしている本馬も、東京替わりは決してプラスではないだろう。血統背景こそ青葉賞を勝ち、ダービーで2着したフェノーメノに似ているが、この馬は初勝利も2勝目も東京で挙げている。むしろ3歳時は東京で勝って、中山で負けている馬だった。無論、まだ一度も走っていないのだから断定はできないが、少なくとも母系は重厚な血統で速い上がりが使える印象はない。
≪結論≫
これまでの2戦のレース内容、そして大竹調教師を始めとした陣営が「瞬発力勝負に対応できるかがカギ」とコメントしている以上、アルカサルが瞬発力勝負に不安があることは間違いない。無論、まだ一度も東京コースを走っていないのだから決めつけることは早計だが、やはり飛びの大きなフットワークや血統背景からも、パワーは感じても特別なキレは感じられない。
しかし、だからといって青葉賞でまったく脈がないということはないはずだ。簡単に言ってしまえば、瞬発力勝負を避ければ良いだけの話。早めの仕掛けで持続力勝負に持ち込みたいことはもちろん、直線に入った段階でできるだけ多くのアドバンテージが欲しいところだ。ただ、逆に直線には入っても中団より後方に位置していた場合、一気に日本ダービーへの道が狭まることになりそうだ。鞍上の積極性に大きなウエイトがありそうだが、コメントを聞く限り、主戦の田辺裕信騎手のこの馬に懸ける気持ちはかなり強いものを感じる。好騎乗を期待したい。
(文=永谷 研)