JRA D.レーン存在感なくなる一方…安田記念(G1)サリオスとのコンビも期待薄⁉
先週行われた日本ダービー(G1)では、鞍上の武豊騎手の好騎乗も光った3番人気ドウデュースが優勝。また22日には今年の国内重賞で未勝利だったC.ルメール騎手がオークス(G1)を勝利して連敗をストップ。2週続けての千両役者の活躍が競馬を盛り上げた。
一方で、春競馬を席巻する程の活躍を期待されながら、日を追うごとに存在感が薄まりつつあるのが短期免許で来日中のD.レーン騎手だ。
同騎手は2019年に短期免許を取得し初めて日本で騎乗。来日初週の日曜には4勝の固め打ち。さらに翌日にメールドグラースで新潟大賞典(G3)を制し重賞初勝利を飾ると、その年にノームコアでヴィクトリアマイル(G1)、リスグラシューで宝塚記念(G1)と有馬記念(G1)のグランプリ連覇などG1を3勝し旋風を巻き起こした。
また、初来日した2019年から前回の2020年までの勝率は24%と国内トップクラスのルメール騎手や川田将雅騎手に匹敵する成績を挙げ、日本の競馬ファンからも一目置かれる存在となった。
しかし、今回の来日では、勝率は18.6%と下降しており、騎乗馬のレベルを考えると物足りなさは拭えない。
今年は重賞7鞍に騎乗し未だ未勝利。馬券圏内も2着が1度あるのみで、かつてのレーンマジックは鳴りを潜めている。過去の来日時に残したインパクトが大きかっただけに、今回の同騎手の存在感の薄さは逆に際立っていると言わざるを得ない。
D.レーン存在感なくなる一方
さらに、今回の同騎手の成績に少なからず影響を与えているのが、身元引き受け調教師となっている堀宣行厩舎の管理馬で未勝利という点だ。前回までは全厩舎中最多の24勝を同厩舎の管理馬で挙げており、勝率33%、複勝率も50%を超えるなど抜群の成績を収めていた。しかし、今年は15レースに騎乗し未だ0勝。15レースの内半分以上の8レースは1番人気だった事を考えると、この結果はかなり深刻だ。
そして、今週末には安田記念(G1)で堀厩舎の管理馬であるサリオスに騎乗予定となっている。同馬は3歳時にはコントレイルと接戦を演じていたが、2020年10月の毎日王冠(G2)を最後に2年近く勝ち星からは遠ざかっている。1200mの高松宮記念(G1)に出走するなど試行錯誤を繰り返すも結果は出ていないが、今回は過去4回騎乗し(2.1.1.0)と好相性のレーン騎手が騎乗する事で、復活への期待が高まっている。ただ、今のレーン騎手には外国人騎手特有の強引さやアッと言わせるような思い切った騎乗などもあまり見られず、大きなプラスになり得るかは疑問符が付く。
三冠馬コントレイルのかつてのライバル、サリオスの復活をかけてレーンマジックに期待する声もあるが、過信は禁物だろう。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。