皐月賞、花の中間管理職・松岡正海が10年前の「忘れ物」を取りに行く! 愛馬ウインブライトとともに悲願達成を狙う「最初にして最大」のチャンス?
この時はスタートから積極的に進出し、逃げたヴィクトリーをマークする番手のポジションにつける。悪くない手応えで直線を迎えると前を目標に一気にスパートを掛けた。
ゴール前の脚色では一瞬サンツェッペリンが上回ったかと思われたが、併せ馬の形になってヴィクトリーがもう一度伸び返し、結果は2着。わずかハナ差の敗戦だった。
JRA-VANのコラムによるとゴール入線時には「勝った!」と思ったという。しかし、結果は事実が示すとおり。初のクラシック制覇がかかっていただけに悔しさは相当なものがあっただろう。
さらに翌年、マイネルチャールズとのコンビで再び皐月賞に挑戦。当時まだオープン戦だったホープフルSから京成杯→弥生賞と3連勝を決め、本番でも1番人気に推されたが、力及ばず3着に敗北。当時のことを彼はスポーツ報知の紙面上で次のように語っている。
「マイネルチャールズの時はイケイケドンドンで、勝ちたい意識が強かった。サンツェッペリンはダービー(4着)で燃え尽きてしまって、申し訳ないことをした。サンツェッペリンもマイネルチャールズも、古馬になってからは活躍できなかった。今思えば、もうちょっとうまく馬をつくれたと思う」
ここ数年は全国リーディング30位前後をウロウロし、「関東の中堅」的ポジションを確立しつつあるが、今年は一味違う。すでに4月13日時点で14勝を挙げてリーディング21位と上位を確保。近年では一番のスピードで勝ち星を積み重ねている。20代の頃の輝きを取り戻しつつあるのかもしれない。
仮にここで皐月賞を制したとなれば、その勢いはさらに増すはず。そういう意味で彼にとっては今後のジョッキー人生を占う大一番というわけだ。
「ウインブライトはデビュー当時はパッとしませんでしたが、休養を挟んで馬がガラッと変わりました。近4戦は3勝2着1回と抜群の成績を収めており、スプリングSでもサトノアレスやアウトライアーズといった骨っぽい相手に強い勝ち方をしています。小足を使える器用な中山巧者でもあり、皐月賞はG1タイトルを手にする最初にして最大のチャンスと言えそうです」(競馬記者)
10年越しの悲願達成に挑む松岡正海騎手。愛馬ウインブライトとともに大仕事を成し遂げるか。結果がどちらに転ぶかは神のみぞ知るところだが、我々も心して彼の戦いを見届けたいと思う。