JRAは何故、G1開催週に「特殊な馬場」を作るのか? 中山の皐月賞(G1)敗因が「前走・中山でレースをしたこと」という皮肉な結果に……
G1という競馬における「看板商品」を絶好のコンディションで開催したいという主催者側の意図は理解できなくもない。だが、馬場を”人為的”に大きく変化させてしまうのはいかがなものだろうか。
多くの馬券購入者にとって、馬場状態は予想の重要なファクターを占めていることは述べるまでもない。それが、実際にレースが行われる土曜日まで「まったく不透明」というのは結果的に、週末までの競馬への意識を低下させ、馬券の購買意欲を削いでしまうことにつながらないのだろうか。
競馬は「ギャンブル」と「スポーツ」という大きく異なった二面性を持つ特殊な競技だ。だが、どちらにも共通して言えるのは、大きな決定権を握る主催者側が”主役”になった興行は得てしてロクなことがないということ。
平成生まれで初のG1騎手となった松山弘平騎手とアルアインが勝った今回の皐月賞は、確かに迫力のある素晴らしいレースだった。
だが、これだけ極端な馬場状態になってしまえば「特定の馬を勝たせるために馬場を操作したのでは?」と勘ぐる人が出てきても仕方がない。真偽はともかく、本来まったく出てくる必要のない”疑念”だ。
何故、G1レースだからといって”特別なコンディション”で開催する必要があるのか。平常の手入れでは不足なのか。改めて考えさせられることとなった。我々ファンはただ、気持ちよく馬券を買いたいだけである。
(文=浅井宗次郎)