武豊エアスピネルが「G2通算100勝」達成なるか! マイラーズC(G2)で新マイル王を目指すエアスピネルが「絶対に」出走してほしい馬とは
無論ここで達成できなくとも、いつかは到達する通過点に過ぎないだろう。だが、武豊騎手という人物はこういった状況で自身のモチベーションを格段に上げてくることで有名だ。
今年の年明けから「やってもらわなければならない馬」としてキタサンブラックとともに武豊騎手から名前が上がったエアスピネル。マイル路線に照準を合わせた今シーズンは、まず年明けの京都金杯(G3)を勝ったことで、課題だった賞金面の問題で大きく前進した。
ところが、前走の東京新聞杯(G3)では単勝1.8倍の1番人気に推されながらも3着。
10頭立てという小頭数で行われたレースは逃げ馬がおらず、これまで一度も逃げたことがなかったブラックスピネルが押し出されるように先頭へ。だが、これがエアスピネルにとっては”悪夢”の始まりだった。
ハナを切ったブラックスピネルは目標にされるのを嫌がって、外から2番手を進むマイネルアウラートに前に行くように促して減速する。しかし、これをマイネルアウラートが拒否。その結果「お先にどうぞどうぞ」という展開になり、1000m通過が62.2秒という未勝利戦並みのペースになってしまった。
無論、これが未勝利レベルならエアスピネルにとって何ら問題はなかったのだが、G3となると、ここからの展開は「究極の上がり勝負」となる。
これまでの上がり3ハロンの最速がデビュー戦の33.9秒というエアスピネルは、末脚勝負に自信がない馬だ。上がりメンバー最速も、稍重で馬場が渋ったデイリー杯2歳S(G2)のただ一度だけである。
結局、エアスピネルも自身の最速を大きく更新する上がり3ハロン32.2秒で追い込んだものの、ブラックスピネルに32.7秒で逃げ切られてはどうしようもない。さらにプロディガルサンにもキレ負けて、3着に甘んじている。
ちなみにプロディガルサンが記録した上がり3ハロン32.0秒は東京マイル史上最速。安田記念を始め、NHKマイルCやヴィクトリアマイルなど、数多くのレースが行われる東京マイル戦での史上最速だけに、このレースがいかに特殊なペースだったのかがうかがえる。
少し乱暴な言い方になるが、エアスピネルにとっても”事故”としか言いようがない敗戦だった。だが、この敗戦によりエアスピネルの評価は急落。次期マイル王に推す声も急速に萎んでいる状況だ。
したがってエアスピネルにとっては、このマイラーズCはただの前哨戦以上の重要度がある。