武豊騎手絶賛のキタサンブラック「無限の成長力」の秘密に迫る。調教師、牧場スタッフらが語る昨年の年度代表馬の「3度目」の成長期とは
30日に京都競馬場で行われる天皇賞・春(G1)に出走するキタサンブラック(牡5歳、栗東・清水久詞厩舎)は今年で5歳のシーズンを迎えているが、ここに来てさらなる「進化」を遂げているという。
競走馬の一般的な成長のピークは4歳シーズン。最大のライバル・サトノダイヤモンドなどがまさにその年齢に差し掛かっているが、近年は幼駒段階の馴致や調教技術が発達し、競走馬のピークが全体的に早まっているようだ。
ましてやキタサンブラックのように3歳春から重賞を勝ち、G1でも上位に好走している馬が5歳になってもまだ進化途上というのは極めて特殊な例といえるだろう。
昨年、年度代表馬まで上り詰めたキタサンブラックが今年になって見せるさらなる進化。それを証言するのは、他ならぬ武豊騎手だ。
前走の大阪杯(G1)で主戦として丸1年を迎えた武豊騎手は、相棒の成長力を「乗るたびに進化を感じさせてくれる馬というのは、なかなかいるものではない」と絶賛。「昨年がキタサンブラックの完成形かなと思っていたが、精神的にも肉体的にも、今年はさらに強くなっている」と述べている。
一体、この「無限」のようにすら思える類稀な成長力はどこからきているのか。具体的な要因はいくつかあるようだ。
2日に行われた大阪杯前のことだった。春の連続G1開催の開幕戦として新たに設けられたG1レースに例年以上の注目が集まっている中、主役を務めるキタサンブラックに関して”妙な噂”が流れていた。ここに来て、猛烈なハードトレーニングを積んでいるというのだ。
調べてみたところ確かにキタサンブラックは先月、何度も1日に坂路を3本乗り込んでいる。大雑把に述べれば「一般的な競走馬の3倍のトレーニングが課されている」と述べても過言ではないほどの調教量だ。