武豊騎手絶賛のキタサンブラック「無限の成長力」の秘密に迫る。調教師、牧場スタッフらが語る昨年の年度代表馬の「3度目」の成長期とは
実際にデビュー前のキタサンブラックは、ヤナガワ牧場の同世代で最後のグループだったという。だが、牧場スタッフは「焦らずじっくり行こう」と決断。後期の育成を担当した日高軽種馬共同育成公社のスタッフにも「古馬になってからのタイプ」と連携を取っていたという。
その結果、キタサンブラックのデビューは3歳1月末と遅れた。だが、今なお成長を続けているのは「幼駒の時に焦って無理をしなかった」ことも大きな要因となっているはずだ。
また、血統的にはキタサンブラックの母方に日本でも屈指の成長力を誇る「ノーザンテースト」の血が流れている点も大きい。
日本競馬がサンデーサイレンス系全盛の時代に突入する以前、種牡馬の頂点にいたノーザンテーストだが、関係者からは「ノーザンテーストの産駒は3度変わる(成長する)」と絶賛されるほど豊富な成長力を秘めていた。
その個性は今なお健在であり、近年でもドリームジャーニー、オルフェーヴル兄弟、ダイワメジャー、ダイワスカーレット兄妹などクラシック以前に活躍しながらも、古馬になってからさらにG1タイトルを積み重ねた。
そういった名馬の多くに、この偉大な血が含まれている。
現役でもエアスピネルやゴールドアクターなどが古馬になって重賞戦線で活躍するなど、その影響力は極めて大きい。5歳になって全盛を迎えているキタサンブラックも3歳、4歳、そして5歳と「3度目の成長期」を迎えているのかもしれない。