【川崎記念(G1)展望】テーオーケインズVSウシュバテソーロ「新旧王者」が初顔合わせ!
2月1日、川崎競馬場では今年最初のG1・川崎記念が行われる。来年からは開催時期が4月上旬へ移行するため、真冬開催の川崎名物はいったん今年で見納めとなる。
主役を務めるのは、2021年に帝王賞(G1)とチャンピオンズC(G1)を制して同年のJRA最優秀ダートホースに輝いたテーオーケインズ(牡6歳、栗東・高柳大輔厩舎)だ。
ダート界の絶対王者として君臨することが期待された昨年は、初戦のサウジC(G1)で8着に終わると、年間を通じて5戦2勝。勝ったのは平安S(G3)とJBCクラシック(G1)の2鞍にとどまった。
連覇がかかった3走前の帝王賞と前走のチャンピオンズCは、どちらも単勝1.5倍の断然人気に支持されるも4着と馬券に絡めず。特に前走は先行集団をすぐ前に見る理想的なポジションを進んだが、最後の直線で伸びあぐねて完敗ともいえる内容だった。
これで21年の春に名古屋城S(OP)→アンタレスS(G3)→帝王賞と3連勝を飾ったのを最後に連勝は一度もなく、近走は1着と着外を交互に繰り返している。傾向通りなら今回は1着となる順番だが、果たしてどうか。
春の大目標として見据えるドバイワールドC(G1、3月25日)に向けて無様なレースはできない。
そんなテーオーケインズに立ちはだかるのは、昨年末の東京大賞典(G1)で1~2着に入った2頭だ。
東京大賞典を勝利して新王者へと上り詰めたのはウシュバテソーロ(牡6歳、美浦・高木登厩舎)。今から1年前は芝中長距離路線の3勝クラスで苦戦が続いていたが、昨年4月にダート路線に舵を切ると、横山和生騎手を背に横浜S(3勝クラス)で初ダート初勝利。秋初戦のラジオ日本賞(OP)は3着に敗れたが、その後は3連勝で東京大賞典を制覇した。
重賞初挑戦がG1となった前走は課題のスタートもしっかりと決めて、道中は中団後方に待機。レース序盤はかなりスローな流れだったが、向正面でサンライズホープらが捲り気味に上がっていき、レースは一気にペースアップした。
ここで横山和騎手は我慢して末脚を温存。4角でも7番手の位置取りだったが、最後の直線で鋭く伸びると、先行集団を一飲み。ウシュバテソーロは重賞初挑戦でG1のビッグタイトルを手に入れた。
今回は前走から100m延びて2100mとなるが、この距離は東京ダートで2戦2勝の好成績を残している。距離延長でさらにパフォーマンスを上げる可能性は高いだろう。
そのウシュバテソーロに東京大賞典で完敗を喫したノットゥルノ(牡4歳、栗東・音無秀孝厩舎)は、昨年7月のジャパンダートダービー(G1、以下JDD)以来の勝利を狙う。
4番人気に留まった前走・東京大賞典は道中インでロスなく運び、向正面でペースアップした時もウシュバテソーロと同様、ジッと我慢した。鞍上の武豊騎手は、4角手前の勝負所でうまく外に持ち出すと、最後の直線でウシュバテソーロには交わされたが、ゴールまで食らいつく勝負根性を見せた。
勝ち馬には1+3/4馬身の決定的な差をつけられたが、3着メイショウハリオには2馬身半差をつけるなど地力の高さは疑いようがない。今回もテーオーケインズとウシュバテソーロに次ぐ3番手の評価でいいだろう。
ウシュバテソーロを逆転するとすれば、持続力勝負になった時か。前走後に武騎手が「一瞬の脚は勝ち馬の方が上でした」とコメントしていたように、切れ味では分が悪い。しかし、川崎へのコース替わりでよりタフな流れになれば、逆転の可能性は生まれそうだ。
昨年のJDDでノットゥルノの後塵を拝し2着に敗れたペイシャエス(牡4歳、美浦・小西一男厩舎)は先行力を生かして粘り込みを図りたい。
重賞初挑戦となった昨年のユニコーンS(G3)では7番人気の低評価だったが、4角10番手以下の差し馬が2~4着を占める中、道中4番手で競馬を進めたこの馬が優勝。続くJDDでノットゥルノに3/4馬身の僅差で敗れると、秋は日本テレビ盃(G2)4着、JBCクラシック3着と古馬相手に善戦した。
前走は距離を延ばして、今回と同じ2100mの名古屋グランプリ(G2)に出走。道中は先行集団を前に見る形で4~5番手を追走すると、直線で先に抜け出したヴァンヤールをゴール寸前ハナ差で差し切った。
今回は一気にメンバーも強化されるが、積極策で見せ場を作りたい。
昨年1月の門司S(OP)から前走ポルックスS(OP)まで8戦連続3着以内を継続中のニューモニュメント(牡7歳、栗東・小崎憲厩舎)は初めて地方に登場する。川崎の砂が合えば、大駆けの可能性があっても不思議ではない。
昨年の2着馬でトライアルの報知オールスターC(重賞)を快勝したエルデュクラージュ(セ9歳、船橋・川島正一厩舎)。川崎では「1-2-1-0」と崩れておらず、3角で先頭に立って押し切った前走の再現に期待がかかる。
実績的にはG1・3勝のテーオーケインズが抜きんでているが、3連勝中の“新王者”ウシュバテソーロが勢いでは上。この2頭に4歳馬のノットゥルノとペイシャエスが挑むという構図か。現行のダートG1では最長距離のタフな一戦を制するのは果たしてどの馬か。川崎記念は2月1日の16時10分に発走を迎える。