【きさらぎ賞(G3)展望】ディープインパクト「3.3億円」ラストクロップVS金子真人オーナー期待の良血馬!
2月5日にクラシックへの登竜門、きさらぎ賞(G3)が行われる。京都競馬場の改修工事に伴い、今年も中京競馬場の芝2000mが舞台となる。
2016年の勝ち馬サトノダイヤモンドは、その後に菊花賞(G1)と有馬記念(G1)を勝つなど、このレースをステップに飛躍を遂げた。しかし、17年以降の勝ち馬6頭はいずれもきさらぎ賞が最後の重賞勝利となっており、ここ数年は出走馬のレベル低下が顕著だ。
ただ、今年はクラシックでも上位を狙える馬も参戦を予定していて、見逃し厳禁のレースといえそうだ。早速展望していこう。
21年の1歳セレクトセールにて、金子真人オーナーが1億5400万円(税込)で競り落としたルーラーシップ産駒のフリームファクシ(牡3歳、栗東・須貝尚介厩舎)は、デビュー前からクラシック候補の呼び声が高かった。
半姉に海外でも活躍した17年の秋華賞馬ディアドラを持つ良血馬は、昨年10月の東京芝2000mでデビューを迎えた。
単勝2.1倍の1番人気に支持された一戦で、好スタートを決めると、押し出されるようにハナを切った。1000m通過が62秒1のスローペースに落としてそのまま逃げ切るかと思われたが、ゴール寸前で好位を進んでいたミッキーカプチーノにクビ差で先着を許した。
続く2戦目は阪神芝2000mの未勝利戦。デビュー戦の内容から単勝1.2倍の圧倒的支持を集めると、道中は6頭立ての4番手からの競馬。4角ではバランスを崩した前の馬を避けるため外に膨れる不利もあったが、これをものともせず。最後は2着馬に2馬身半差をつけて初勝利を飾った。
3戦目は今月5日の3歳1勝クラス(中京芝2000m)。ここでも道中は無理をせず、中団に控えると、直線で力強く伸びて、評判馬のダノントルネードを1+1/4馬身差で下している。
デビューから手綱を取る川田将雅騎手は前走後、「競馬になるとまだまだ力みすぎてしまう」と課題を挙げたが、春の大舞台を見据えてこの辺は解消しておきたいところだ。
フリームファクシと同じ21年のセレクトセールにて、3億3000万円(税込)の値をつけたのが数少ないディープインパクトのラストクロップの1頭、オープンファイア(牡3歳、栗東・斉藤崇史厩舎)である。
デビューはフリームファクシより1か月早い9月の中京芝2000m。調教でも素質の高さをのぞかせており、単勝1.3倍の断然1番人気に推された。
レースではスタートで立ち遅れて、道中は7頭立ての6番手を追走。直線で2番人気のピースオブザライフが早めに抜け出したが、これをクビ差交わしてゴールを駆け抜けた。
2戦目は東京へ遠征してのアイビーS(L)。同じく評判馬のチャンスザローゼスに次ぐ2番人気に支持されたが、再び出遅れてしまい後方から最後の直線に懸けた。
長い東京の直線で取った進路は内。必死に先行勢を追い詰めたが、前が止まらず。逃げたチャンスザローゼスには決定的な0秒4差をつけられ、道中2番手を進んだシャンドゥレールにもクビ差及ばずの3着に敗れた。
デビューから2戦連続で出遅れているだけに、今回もスタートがカギ。C.ルメール騎手からB.ムルザバエフ騎手に乗り替わって、この課題をクリアすることができるか。
セリでの落札額が合わせて5億円近いフリームファクシとオープンファイア。2頭の間に割って入るとすれば、3戦2勝のレミージュ(牝3歳、栗東・松永幹夫厩舎)だろう。
昨夏の小倉芝1800mでデビューを迎えたが、スタートで立ち遅れると道中も馬群から離され、後方を追走するのが精いっぱい。直線でも伸びを欠き、13頭立ての12着と大敗した。
3か月の休養を挟んで迎えた2戦目は、秋の福島芝1800m。初戦の大敗で大きく人気を落としており、この時もスタートが今一つだった。しかし、初戦とは違い二の脚を使って好位に取り付くと、4角では先行集団に並ぶ勢い。残り200m地点で先頭に立つと、最後は外から追い込んできた各馬の追撃を振り切った。
3戦目は中3週でエリカ賞(2歳1勝クラス)へ向かったが、初勝利がフロック視されてか、13頭立ての11番人気(単勝170.6倍)と低評価にとどまった。
しかし、3戦目で初めて好スタートを決めると、ハナ争いを制して逃げる形に。3ハロン目が13秒2、4ハロン目は12秒9の絶妙なスローペースに落とし込み、まんまと逃げ切った。
今回もスタートを決めれば逃げる可能性が高そう。フリームファクシとオープンファイアの2強が牽制しあうような展開になれば、漁夫の利で粘り込むシーンがあっても驚けない。
これ以外には、前走の3歳1勝クラスでフリームファクシから0秒6差の4着に入ったノーブルライジング(牡3歳、栗東・宮本博厩舎)、デビュー4戦目で2200mに距離を延ばして初勝利を挙げたロゼル(牡3歳、美浦・大和田成厩舎)、ともにダートで勝ち上がったショウナンライシン(牡3歳、美浦・大竹正博厩舎)とクールミラボー(牡3歳、栗東・寺島良厩舎)などの伏兵陣も出走を予定している。
2強ムードが濃厚な今年のきさらぎ賞を勝ってクラシックに名乗りを上げるのはどの馬か。発走は2月5日の15時35分を予定している。