ヴィクトリアマイル(G1)レッツゴードンキ復活へ岩田康誠騎手が打った「布石」とは? G1レースを”捨てて”でも主戦騎手が示したかった「意気込み」
前走と同じ6枠11番からスタートしたレッツゴードンキは、前走の経験から好ダッシュを見せて好位に付けたものの、陣営がやりたかったのは復活の糸口が見えた後方からの競馬。岩田騎手も懸命になだめようとしたが、やはり折り合いを欠いて最後の直線で失速した。
ヴィクトリアマイルでまたも折り合いを欠いたのは、前走の高松宮記念で岩田騎手が「初のスプリント戦」であることを意識してスタートから出していったことが原因だった。セオリーを考えれば決して間違ってはいなかったが、結果的にそれが裏目に出た形だ。
レース後、梅田調教師が「実戦で上手く噛み合わなかった」とコメントしたのがすべてを表していた。
「次のレースのことも考えて、無理に前へ行かせることなく自然な形で直線まで走らせました。今日の馬場もよくこなしてくれましたが、勝った馬は強かったですね」
繰り返しになるが、だからこそ今年の高松宮記念のレース後に岩田騎手が残した言葉からは、このヴィクトリアマイルに懸ける陣営の気持ちがひしひしと伝わってくる。
実際に岩田騎手は昨年とは違い、今年の高松宮記念のスタート後はほとんど追っていない。惜しくも勝利を逃す結果となったが、すべては思い描いていた競馬ができず悔しい思いをしたヴィクトリアマイルで”借り”を返すためだ。
昨年の大スランプを脱した名手が、人馬ともに一昨年の桜花賞以来のG1制覇へ虎視眈々とツメを研いでいる。
(監修=下田照雄(栗東担当))