キングヘイロー輩出の名門「9年5か月ぶり」新馬戦V! 福永祐一「引退」直前に激走
18日、阪神5Rに行われた3歳新馬戦(ダート1800m)は、9番人気の伏兵ゼンダンゴクウ(牡3歳、栗東・飯田雄三厩舎)が逃げ切って勝利。手綱を取った26年目の酒井学騎手は、JRA通算400勝を達成した。
フルゲート16頭のレース。1枠1番からスタートしたゼンダンゴクウと酒井騎手は「砂を被らない方がいいと先生(飯田雄師)からアドバイスを頂いた」と振り返った通り、手綱を押して1コーナーでハナを奪う。その後は前半1000mを65秒1で通過し最後の直線へ。
2番手の馬に並びかけられると再び脚を伸ばし、直線半ばでは後続とのリードを拡大。ゴール前では2着馬が急追してきたが、最後は1馬身差をつけてしのぎ切った。
「出脚はそれほど速くありませんでしたが、最内枠ということもありハナに行き切ったのが正解でしたね。ゴール前ではまだ手応えが残っているようにも見えたので、着差以上の完勝だったのではないでしょうか。
レースでは口向きの悪さなど随所に若い面を見せており、また馬体にも余裕がありそう。ここを叩かれての上積みも十分に見込めそうです」(競馬誌ライター)
ゼンダンゴクウは父ルーラーシップ、母は2011年の秋華賞(G1)で2着に入ったキョウワジャンヌで、近親には北九州記念(G3)を勝ったキョウワロアリングなどがいる期待馬。ちなみに同母の仔は、これがJRAでの新馬戦初勝利だ。
また、生産した協和牧場も2013年9月のキョウワランサー以来、およそ9年5ヶ月ぶりとなる新馬戦白星となった。
キングヘイロー輩出の名門「9年5か月ぶり」新馬戦V!
北海道新冠町にある同牧場は、2000年の高松宮記念(G1)を勝ったキングヘイローなどを輩出している名門。ちなみに同馬といえば、1997年の東京スポーツ杯3歳S(G3・当時)でデビュー2年目の福永祐一騎手に初重賞のタイトルをプレゼントした馬としても知られている。
あれから約四半世紀の時が流れ、福永騎手は今月一杯で引退を迎える。同騎手の中央ラストウィークとなった今週、キングヘイローのふるさとである協和牧場の生産馬が激走・久々の新馬戦Vを飾ったというのも、何か不思議な縁というか、巡り合わせのようなものがあったのかもしれない。
「ちなみに協和牧場は福永騎手が調教師試験に合格した際にもツイッターで祝福。『ウチの母父キングヘイローの繁殖にコントレイルが受胎しているので、産まれたら福永厩舎に預けます♪』というロマン溢れる投稿をしていたことでも話題になりましたね」(同)
酒井騎手はレース後、ゼンダンゴクウについて「まだ仕上がり切っている感じではないが、返し馬からいい馬だと思った。先が楽しみです」とコメント。なお同騎手はこの日3勝の固め打ちで、通算勝利数を401とした。
次走は未定とのことだが、父も母も芝のレースで活躍。今回はダートでの初陣となったが、ゆくゆくは芝での走りも見てみたい1頭だ。