「超豪華メンバー」中山記念(G2)一波乱を起こすのは、あの名牝系!? 前走から浮かび上がる“ソーヴァリアントを上回る”ほどの才能とは
春の中山開催の始まりを彩る“名物重賞”中山記念(G2、芝1800m)が、26日に行われる。
今年は、近年でも屈指の好メンバーが揃いそうだ。G1優勝経験のあるダノンザキッド、スタニングローズ、シュネルマイスターの他に、一昨年の本レース優勝馬で宝塚記念(G1)2着のヒシイグアス、さらにはC.ルメール騎手が「G1レベルにいける」と評したソーヴァリアントなどが出走予定となっている。
メンツからして堅い決着の雰囲気が漂うが、有力馬の多くが休み明けであり、サウジカップデーの影響で多くの鞍上は乗り替わりとなっている。いずれの馬においても不安材料が全くないわけではない。
そんな中で人気薄の激走を期待したくなるのが、中1週での参戦となるリューベック(牡4歳、栗東・須貝尚介厩舎)だ。
前走が但馬S(3勝クラス、芝2000m)勝利と実績だけで言えば厳しく思えるが、前走は着差以上の楽勝。前半5ハロン 62.7秒のスローペースを好位のインで折り合い、直線ではあっさり前を交わす走りを見せたのは、これからの飛躍を感じさせるものであった。
なにより特筆すべきは、レース後半のラップタイムである。
“ソーヴァリアントを上回る”ほどの才能
本レースは後半5Fで12.4-11.7-11.3-11.1-11.3という極めて速いラップを刻んだ。上がり5F 57.8秒、4F 45.4秒、3F 33.7秒は、同じコースで行われた過去4年間のレースの中でトップクラスの記録している。
好位追走から直線半ばで先頭に立ったリューベックは、このラップよりも少し速いタイムで走ったというわけだ。
興味深いことに、この前半62.7-後半57.8のレースラップは、ソーヴァリアントが優勝した2021年チャレンジC(G3、阪神・芝2000m)で刻まれた前半62.9-後半58.1のラップと酷似している。
そのうえで但馬Sの方が前半0.2秒速く、後半0.3秒速い時計なのだから、数字上の計算ではリューベックがソーヴァリアントと同じか、それ以上の能力を有していても不思議ではない。
今回の舞台は前走と同じコーナー4つの中山千八。前走で見せた速い脚を長く使える力は、大きな武器になるだろう。
さらに、リューベックの秘めたる才能を感じさせるのはその血統である。
姉弟には秋華賞馬ディアドラ(父ハービンジャー)、今年のきさらぎ賞(G3)を制したフリームファクシ(父ルーラーシップ)がおり、母の母ソニンクから広がる牝系には安田記念(G1)を制したソングライン、ダービー馬ロジユニヴァースをはじめ何頭もの重賞ウイナーが名を連ねている。今年に入って同牝系の馬の成績は7-3-2-14(勝率26.9%、複勝率46.2%)。絶好調の牝系の勢いそのままに大金星をあげることはできるだろうか。
上位拮抗の様相を呈す今年の中山記念であるが、骨折による休養を挟んで心身ともに成長したリューベックに注目してみるのはどうか。本当の「遅れてきた大器」は、この馬かもしれない。