川田将雅「単勝1.1倍」10連勝ストップの“事故”…盤石のレースも「勝ち馬が…」初ダートの怪物候補に5馬身差の完敗
11日、中山競馬場で行われた6R・3歳未勝利はグランサバナ(牡3歳、美浦・田村康仁厩舎)が、単勝1.1倍という圧倒的な大本命に推された。
16頭立てのレースながら1頭の馬がここまで支持を集めたのは、グランサバナがここ2走で今回と同じ中山・ダート1800mの未勝利を走って3/4馬身、クビ差で共に2着という惜しいレースを繰り返していたからだろう。
そして、そんな実績断然馬が川田将雅騎手に乗り替わったのだから、人気に拍車が掛かるのも当然か。
昨年のリーディングジョッキーは今年も首位を快走。特に先週土曜日の4Rからここまで【5.1.2.0】と、8戦してすべて馬券圏内という無双状態だった。競馬における「騎手」の重要性がますます増した感のある昨今、グランサバナの単勝1.1倍も、それだけ全国に“川田信者”が多いことの証拠といえるだろう。
しかし、冷静に振り返ってみれば、舞台はまだまだキャリアの浅い3歳馬による未勝利戦だ。実際にこのレースも初出走のツヴィリングやショーネノーを始め、最大でもサンタモニカビーチの5戦という「未知の可能性」を秘めた若駒たちによる争いだった。
「この馬自身、後ろを離していましたし……」
大本命が盤石のレースも「勝ち馬が…」
レース後、川田騎手が残したのは、まさかの“敗戦コメント”だった。その言葉通り、グランサバナは後続を5馬身も突き放したのだが、そのさらに5馬身先に勝ち馬がいた。杉原誠人騎手が手綱を取ったコスタノヴァ(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)である。
「この日は中山牝馬S(G3)のアートハウスに騎乗するため中山に遠征していた川田騎手ですが、単勝1.1倍というオッズが示す通り、グランサバナは当然『勝ち』を計算した1頭だったと思います。馬も3着以下は突き放していますし、しっかりと力を発揮しているのですが、まさか逃げたコスタノヴァがあそこまで強い競馬をするとは……。グランサバナと川田騎手にとっては、ある意味“事故”のような敗戦だったと言わざるを得ませんね。
ちなみにキャリア2戦目だったコスタノヴァは、今回が初のダート戦。芝のデビュー戦では11着とあまり目立ちませんでしたが、ダートになって一変しましたね。兄のリレーションシップは今年の阪急杯(G3)に出走するなど芝で活躍していますが、この馬は相当ダート適性が高そうです」(競馬記者)
また、記者曰く単勝1.1倍は10連勝中だったという。ちなみに前回敗れたのは昨年3月のやはり3歳未勝利で、対象馬はエフフォーリアの1つ下の弟として注目を集めたヴァンガーズハート(3着)だった。
「負けた川田騎手も『勝ち馬が強かった』と白旗を上げた通り、コスタノヴァの強さが目立ったレース。勝った杉原騎手はこの日の3Rでも同じダート1800mを5馬身差で逃げ切っており、まるでリプレイを見ているようでした。これで騎乗機会2連勝となりましたが、3Rの勝利が思い切りの良さを後押ししたと思います。
実は、そのコスタノヴァが敗れた前回のレースを勝ったのが、エフフォーリアの2つ下の妹ペリファーニアというのも、なんだか面白いですね(笑)」
レース後には、杉原騎手も「強かったですね」「リズム良く走れて、時計も優秀でした」とコスタノヴァを高く評価。「馬込みで運ぶ形になった際の対応が鍵になりそうです」と早くも、上の舞台を見据えている。
一方、川田騎手とグランサバナも3着以下を5馬身突き放す強いレース。今回はそれでも5馬身差の完敗だっただけに「相手が悪かった」という他ないだろう。
これでリズムを崩してしまったのか、川田騎手はその後の9Rで騎乗馬が大きく外に逃避して大差の最下位に敗れるなど3連敗。1番人気で迎えた中山牝馬S(G3)のアートハウスも、最後の直線で進路を切り替えるロスがあって4着止まりだった。
単勝1.1倍の連勝が10で途絶えてしまったこのアクシデントには、さすがのリーディングジョッキーも打つ手がなかったようだ。