桜花賞「除外問題」にガックリ!? 川田・リバティアイランドVS武豊・ライトクオンタムも大混戦…評価急上昇のデアリングタクト2世、阪神JF・2着馬さえ当落選上か
12日、阪神競馬場で開催されたフィリーズレビュー(G2)は、2番人気のシングザットソング(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)が勝利。昨年の二冠牝馬スターズオンアースと同じドゥラメンテ産駒が桜花賞(G1)へ大きく前進した。
最後は2着ムーンプローブ、3着ジューンオレンジとクビ差+クビ差の接戦だったが、主戦の吉田隼人騎手が「自分から前を負かしに行った強い内容」という好内容。今年の牝馬クラシックは2歳女王リバティアイランドに、シンザン記念(G3)を勝ったライトクオンタムやクイーンC(G3)の覇者ハーパーらが挑む図式だが、また1頭、上位争いが期待できる逸材が現れた。
そんな中、この2週間で大きく評価を上げた馬がいる。エルフィンS(L)を勝ったユリーシャ(牝3歳、栗東・中村直也厩舎)だ。
この日のフィリーズレビューで強いレースを見せたシングザットソングだが、前走のエルフィンSは3着に敗れていた。さらに約10分後に行われたアネモネS(L)で3着に好走したクイーンオブソウルは、同レースの4着馬だ。
これだけを見てもエルフィンSのレベルの高さがうかがえるが、実は先週のチューリップ賞(G2)で2着だったコナコーストが同レースの2着馬。ちなみにユリーシャは、これらのトップクラスに2馬身半差をつけて快勝している。
「エルフィンSで2着だったコナコーストがチューリップ賞でハナ差の2着。3着馬のシングザットソングがフィリーズレビューを勝ち、4着馬のクイーンオブソウルも勝ち馬から1/2馬身+クビ差の3着と、あと一歩で桜花賞の優先出走権をゲットできるところでした。
あくまで単純計算ですが、2馬身半差というエルフィンSの着差を当てはめるなら、ユリーシャはいずれのレースでも2馬身程度の差をつけて勝っていることになります。
トライアルが一通り終わって桜花賞の勢力図が見えてきましたが、この2週間で最も評価を上げたのはレースを走った馬たちではなく、本馬でしょう。主戦の松山弘平騎手も手応えを掴んでいる様子ですし、本番が楽しみになってきました」(競馬記者)
松山騎手とエルフィンSの勝ち馬といえば、史上初の無敗牝馬三冠馬となったデアリングタクトがあまりに有名だ。ウオッカやレッドディザイア、エアメサイア、マルセリーナなどクラシックを賑わせた名牝たちが歴代の勝ち馬に名を連ねている。トライアルの結果を見れば、ユリーシャが桜花賞の有力候補に浮上したのは間違いないだろう。
だが、本番へ向けて「意外な問題」が発生しているという。
「どうやら賞金的にかなり危ない状況にあるようです。トライアルの3レースが終わって合計8つの優先出走権が埋まりましたが、元から桜花賞出走をクリアした収得賞金を持っていた馬は皆無。もともとの賞金順から、単純に枠が8つ埋まったことになります。
また、今年はリバティアイランドだけでなく、2着馬のシンリョクカも桜花賞へ直行する影響もあってか前哨戦の賞金が分散しています。リステッド競走を勝ったユリーシャですが、1勝馬の格上挑戦だったこともあって、賞金ボーダーでは非常に厳しい立場。今週末のフラワーC(G3)上位組の動向次第では、除外になってしまう可能性もありそうです」(別の記者)
記者が「実は(阪神JF・2着の)シンリョクカでさえ危ういかも」と話すほど高騰している今年の桜花賞出走ボーダー。
『中日スポーツ』で連載しているコラムでは「桜花賞に出走可能となる賞金を加算できましたし、そういう意味でも、大きな1勝になった」とユリーシャとの参戦を楽しみにしている様子の松山騎手だが、思わぬ形で“不戦敗”になってしまう可能性もありそうだ。